#057 一回治した根っこ、また悪くなることあるん?

一度根管治療した歯でも再発して悪くなることがあるのか質問する患者さんの4コマ漫画
根管は細く複雑なため根管治療後も細菌が残り再発することがあると説明する歯科医師
詰め物や被せ物の隙間や虫歯から細菌が入り根管治療した歯が再感染する説明
根管治療後に再発しても診断のうえ再根管治療で歯を残せる場合があると説明する歯科医師

【4コマ解説】

目次

一回治した根っこ、また悪くなることあるん?

「前にちゃんと根っこの治療したのに、また痛くなってきた」
「一度治した歯やのに、なんでまた腫れるん?」
「根管治療したら、もう二度と悪くならへんのちゃうの?」

このような疑問を持つ方は少なくありません。

根管治療は、歯の根の中にある感染した組織や細菌を取り除き、根管内を清掃・消毒して歯を残すための治療です。

しかし、一度根管治療をした歯でも、数か月後や数年後に再び痛みや腫れなどの症状が出ることがあります。

原因は一つではありません。

根管内に細菌が残っていた場合もあれば、治療後に新たな細菌が入り込んで再感染する場合もあります。

根っこの中は、とても細くて複雑です

歯の根の中にある「根管」は、単純な一本の管ではありません。

歯によっては、

  • 非常に細い
  • 大きく曲がっている
  • 複数の根管がある
  • 枝分かれしている
  • 通常の器具が届きにくい部分がある

など、複雑な形をしています。

そのため根管治療では、できるだけ感染源を取り除くように治療しますが、根管内からすべての細菌を完全にゼロにすることは簡単ではありません。

根管の複雑な部分に細菌が残っていると、時間がたってから再び増殖し、根の先に炎症を起こすことがあります。

「根管治療では何をしているの?」という方は、
「#051 根っこの治療って、いったい何してるん?」
もご覧ください。

見つけにくい根管が残っていることもあります

特に奥歯では、一本の歯の中に複数の根管があります。

さらに、人によって根管の本数や形には個人差があります。

非常に細い根管や通常とは異なる位置にある根管などが存在すると、最初の治療では見つけにくい場合もあります。

治療されていない根管に感染した組織や細菌が残っていると、そこが原因となって後から炎症が起こることがあります。

つまり、

「一度治療したのに再発した=必ず前回の治療が雑だった」

とは限りません。

根管そのものが非常に複雑であることも、再発の一因になります。

被せ物や詰め物の隙間から再感染することがあります

根管治療直後は問題がなくても、治療後に新たな細菌が歯の中へ入り込むことがあります。

たとえば、

  • 被せ物が外れた
  • 被せ物に隙間ができた
  • 詰め物が割れた
  • 新しく虫歯ができた
  • 歯そのものが欠けた

といった場合です。

お口の中には多くの細菌が存在しています。

被せ物や詰め物の隙間から唾液や細菌が入り込み、根管内まで到達すると、一度治療した根管が再感染することがあります。

そのため、根管治療では根の中だけでなく、治療後にしっかりと歯を封鎖・修復することも大切です。

根管治療後に被せ物をするのは、再感染を防ぐ意味もあります

根管治療が終わった歯では、残っている歯質の状態によって被せ物などの修復を行います。

被せ物には、

噛む力から歯を守る

だけでなく、

お口の中の細菌が歯の内部へ入り込みにくい状態を作る

という役割もあります。

根管治療後になぜ被せ物が必要になることがあるのかについては、
「#056 根っこの治療が終わったら、なんで被せ物するん?」
でも詳しく解説しています。

根管治療と、その後の修復治療は別々のものではなく、治療した歯を長く残すためには両方が重要です。

新しく虫歯になると、そこから細菌が入ることもあります

根管治療をした歯も、虫歯にならないわけではありません。

特に被せ物と歯の境目などに新しい虫歯ができると、細菌が内部へ入り込み、根管まで再感染する可能性があります。

神経を取った歯では、虫歯が進行しても痛みを感じにくいことがあります。

そのため、

痛くないから問題ない

とは限りません。

根管治療をした歯ほど、定期的に被せ物の状態や虫歯の有無を確認することが大切です。

神経を取った歯でも、また痛くなることがあります

「神経を取ってるのに、なんでまた痛いん?」

と思われる方もいると思います。

歯の内部の神経を取り除いていても、歯の根の周囲には歯根膜や骨などの組織があります。

根管内で再感染が起こり、根の先に炎症が広がると、

  • 噛むと痛い
  • 歯が浮いたような感じがする
  • 歯ぐきが腫れる
  • 膿が出る
  • 歯ぐきにニキビのようなできものができる

といった症状が出ることがあります。

詳しくは、
「#009 神経取った歯って、もう痛くならへんの?」
をご覧ください。

痛みがなくても再発していることがあります

根管治療後の再感染では、必ずしも強い痛みが出るとは限りません。

自覚症状がほとんどなくても、レントゲンを撮影すると根の先に炎症が見つかることがあります。

また、

「たまに噛むと違和感がある」
「歯ぐきに小さいできものができたり消えたりする」

という程度の症状しかないこともあります。

そのため、過去に根管治療をした歯についても、定期検診で状態を確認することが重要です。

再発したら、もう抜歯するしかないの?

再発したからといって、すぐに抜歯になるわけではありません。

まず、

  • レントゲン検査
  • お口の中の診察
  • 歯の揺れ
  • 歯周組織の状態
  • 被せ物の状態
  • 必要に応じたCT撮影

などから、再発の原因を確認します。

その結果、

もう一度根管治療を行うことで歯を残せる可能性がある

と判断した場合には、再根管治療を検討します。

再根管治療では、以前に根管内へ入れた材料を除去し、根の中をもう一度清掃・洗浄・消毒して、新たに根管充填を行います。

再根管治療では、被せ物や土台を外すことがあります

すでに被せ物が入っている歯を再治療する場合には、根管へ到達するために被せ物や土台を外す必要があることがあります。

そのため、最初の根管治療と比べると処置が複雑になる場合があります。

また、

  • 根管が非常に細い
  • 根管が石灰化している
  • 根管内に器具が残っている
  • 大きな土台が入っている

などの場合には、再治療の難易度が高くなることがあります。

すべての歯で再根管治療が可能なわけではないため、現在の状態を確認して治療方法を判断します。

再根管治療しても治らないことはある?

残念ながら、根管治療や再根管治療を行えば、すべての歯が必ず治るというわけではありません。

根管の形や感染の状態、歯根の破折などによっては、通常の根管治療だけでは改善が難しい場合があります。

そのような場合には、歯の根の先を外科的に治療する方法を検討したり、保存が難しいと判断した場合には抜歯を検討することもあります。

この点については、
「#059 根っこの治療しても、治らへんことあるん?」
でも詳しく解説しています。

歯が割れている場合は、再根管治療では治せないこともあります

根管治療後の歯に症状が出る原因が、必ず細菌感染だけとは限りません。

歯そのもの、特に歯根が割れている場合には、根管治療をやり直しても症状が改善しないことがあります。

歯根破折の位置や程度によっては、歯を残すことが難しくなる場合があります。

そのため、

「前に根管治療した歯が痛い=とりあえず再根管治療」

ではなく、まず原因を診断することが重要です。

根管治療を途中で中断すると再感染の原因になります

根管治療の途中で痛みがなくなると、

「もう治ったからええかな」

と通院をやめてしまう方もいます。

しかし、治療途中で中断すると、仮の詰め物が劣化したり外れたりして、根管内へ細菌が入り込む原因になります。

治療中断による再感染については、
「#055 根っこの治療、途中でやめたらどうなるん?」
で詳しく解説しています。

根管治療は、症状がなくなった時点ではなく、必要な処置と最終的な修復まで完了することが大切です。

一度治療した歯も、定期的にチェックしましょう

根管治療が終わった歯は、

「もう治療済みやから、一生大丈夫」

というわけではありません。

治療後も、

新しい虫歯
被せ物の劣化
歯の破折
根管内の再感染

などが起こる可能性があります。

そのため、定期検診では根管治療をした歯も含めて、お口全体を確認することが大切です。

特に、

  • 噛むと違和感がある
  • 歯ぐきが腫れる
  • 歯ぐきにできものができる
  • 被せ物がグラグラする
  • 被せ物が取れた
  • 以前治療した歯が再び痛くなった

といった症状がある場合には、早めに歯科医院へご相談ください。

一度根管治療した歯が悪くなっても、すぐ諦める必要はありません

根管治療をした歯が再び痛くなると、

「せっかく治療したのに失敗したん?」
「もう抜くしかないんかな?」

と不安になると思います。

しかし、再発する原因には、

複雑な根管内に細菌が残っていた
見つけにくい根管があった
被せ物の隙間から細菌が入った
新しい虫歯ができた
歯が割れた

など、さまざまなものがあります。

そして、原因や歯の状態によっては、再根管治療によってもう一度歯を残せる可能性があります。

「根管治療した歯やから、もう治療できへん」

と決めつける必要はありません。

まず現在の状態と再発の原因を確認し、その歯を残す方法があるのかを検討することが大切です。

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