#055 根っこの治療、途中でやめたらどうなるん?

根管治療で痛みがなくなったため途中で通院をやめてもよいか質問する患者さんの4コマ漫画
根管治療で痛みが消えても歯の根の中に細菌が残っていることがあると説明する歯科医師
根管治療を途中で中断すると仮の詰め物が外れて再感染や炎症再発のリスクがある説明
根管治療は根の中を整えて最終的に封鎖するまで通院することが大切と説明する歯科医師

【4コマ解説】

目次

根っこの治療、途中でやめたらどうなるん?

「痛みなくなったし、もう通わんでもええかな」
「何回も通うのしんどいし、治ったんちゃう?」
「次の予約、行かんでも大丈夫?」

根管治療を受けている途中で症状がなくなると、このように思う方もいるかもしれません。

しかし、痛みがなくなったことと、根管治療が完了したことは同じではありません。

根管治療では、歯の根の中にある感染源を取り除き、清掃・洗浄・消毒を行ったうえで、最終的に根管内を材料で封鎖するところまで進めます。

途中で治療をやめてしまうと、再び細菌が入り込み、痛みや腫れが再発する可能性があります。

そもそも根管治療では何をしてるの?

根管治療は、虫歯などによって感染した歯の内部から、

感染した組織や汚れを取り除く
↓
根管内を清掃・洗浄・消毒する
↓
状態を確認する
↓
根管内を材料で封鎖する

という治療です。

「根っこの治療で何をしているのか分からない」という方は、
「#051 根っこの治療って、いったい何してるん?」
もご覧ください。

根管治療は、単に痛みを取るだけの治療ではありません。

根の中の感染をできるだけ減らし、その歯を長く残せる状態を目指す治療です。

痛みがなくなっても、根の中に細菌が残っていることがあります

根管治療を始めると、治療前にあった強い痛みが比較的早い段階で落ち着くことがあります。

すると、

「もう治ったんや」

と思ってしまうかもしれません。

しかし、症状がなくなっていても、根管の中に細菌や感染した組織が残っている場合があります。

痛みは、感染の程度を判断するための一つの情報ではありますが、

「痛くない=細菌がいない」

という意味ではありません。

そのため、症状だけで自己判断して治療を中断するのはおすすめできません。

なんで根管治療は何回も通うことがあるの?

歯の根の中にある根管は、とても細く複雑です。

曲がっていたり、枝分かれしていたりするため、一度ですべての感染源を除去することが難しい場合があります。

そのため、状態を確認しながら複数回に分けて、

清掃
洗浄
消毒
必要に応じた根管内への薬剤使用

などを行います。

詳しくは、
「#052 根っこの治療って、なんで何回も通わなあかんの?」
をご覧ください。

「何回も通っている=同じことを繰り返している」というわけではありません。

その時の状態を確認しながら、治療を次の段階へ進めています。

根管治療の途中では「仮の詰め物」をしています

根管治療は複数回に分かれることがあるため、治療と治療の間は歯の入口を仮の詰め物で封鎖します。

これは、

食べ物や唾液が根管内へ入りにくくする
根管内への再感染を防ぐ

ために重要です。

しかし、仮の詰め物は最終的な被せ物ほど長期間使用することを想定したものではありません。

長期間放置すると、

  • 仮の詰め物がすり減る
  • 一部が欠ける
  • 外れる
  • 隙間ができる

ことがあります。

その隙間から唾液や細菌が入り込むと、せっかく清掃・消毒した根管が再び汚染される可能性があります。

治療を中断すると再感染することがあります

根管治療を途中でやめてしまう一番大きな問題の一つが、再感染です。

根の中へ再び細菌が入り込むと、

  • 痛みが出る
  • 噛むと痛い
  • 歯ぐきが腫れる
  • 膿が出る
  • 根の先に炎症が起きる

といった症状が出ることがあります。

しかも、一度再感染すると、もう一度根の中を清掃し直す必要が出てくる場合があります。

結果として、

予定していた治療よりも長くかかる

こともあります。

中断期間が長いと、歯が割れるリスクもあります

根管治療中の歯は、虫歯や治療によって多くの歯質を失っていることがあります。

そのため、健康な歯と比べて強度が低下している場合があります。

最終的な被せ物を入れないまま長期間放置すると、噛む力によって歯が欠けたり割れたりすることがあります。

歯の割れ方によっては、根管治療を続けても歯を残せなくなる場合があります。

つまり、

せっかく歯を残すために始めた根管治療でも、途中で放置することで保存が難しくなる可能性がある

ということです。

仮の詰め物が取れたらどうしたらいい?

根管治療中に、

「仮の詰め物が取れた」
「穴が開いた感じがする」
「詰め物の一部が欠けた」

という場合には、放置しないで歯科医院へ連絡してください。

そのままにしていると、唾液や食べ物が根管内へ入り、再感染の原因になる可能性があります。

次の予約が数日後だったとしても、状態によって対応が異なるため、まず歯科医院へ確認することをおすすめします。

根管治療の途中で痛くなったら?

根管治療中でも、一時的に痛みや違和感が出ることがあります。

また、もともとの感染が強い場合には、治療途中で痛みや腫れが強くなることもあります。

根管治療中・治療後の痛みについては、
「#053 根っこの治療中って、痛くなることあるん?」
で詳しく解説しています。

強い痛みや腫れが出た場合は、

「次の予約まで待とう」

と我慢せず、歯科医院へ連絡してください。

根管治療では、再感染を防ぐことも重要です

根管治療では、根の中から細菌を取り除くことだけでなく、治療中に新たな細菌を入れないことも重要です。

そのために使用するのがラバーダム防湿です。

ラバーダムは、治療する歯だけをゴムのシートから出して、唾液などから隔離する方法です。

詳しくは、
「#054 ラバーダムって、なんで付けなあかんの?」
をご覧ください。

根管治療を成功させるためには、

感染源を取り除くこと
と
新たな感染を防ぐこと

の両方が大切です。

最後は「根管充填」で根の中を封鎖します

根管内の清掃・消毒が終わり、状態が落ち着いたら、根の中を専用の材料で封鎖します。

これを根管充填といいます。

根管の中をきれいにしただけで空洞のままにすると、再び細菌が入り込む可能性があります。

そこで最終的に根管内を封鎖し、再感染しにくい状態を作ります。

つまり、

痛みがなくなった段階ではなく、必要な処置を終えて根管内を封鎖するところまで進める

ことが重要です。

根管治療が終わっても、被せ物まで必要なことがあります

根管治療が終わったあとも、多くの場合、その歯の治療はまだ完了ではありません。

歯の状態によっては、

土台を作る
↓
被せ物を装着する

という治療が必要になります。

根管治療が必要になった歯は、虫歯などによって大きく歯質を失っていることが多く、そのままでは噛む力に耐えにくい場合があるためです。

根管治療だけ終わらせて長期間そのままにせず、最終的な修復まで治療を続けることが大切です。

もし根管治療を中断してしまっている場合は?

「実は半年ぐらい前から行ってない」
「痛くなくなってそのまま放置してる」
「何年も前に根っこの治療の途中でやめた」

という場合でも、まず現在の状態を確認しましょう。

治療を中断してからの期間や、仮の詰め物の状態、根管内の感染状態などによって、必要な治療は異なります。

場合によっては、最初から根管内を清掃し直す必要があります。

しかし、

「途中でやめてしまったから、もう歯医者に行きにくい」

と思ってさらに放置すると、状態が悪化する可能性があります。

怒られることを心配するより、まず今の状態を確認することが大切です。

長期間歯医者に行っていないことが気になっている方は、
「#042 何年も歯医者に行ってへん…怒られへん?」
も参考にしてください。

痛くなくなっても、根管治療は最後まで続けましょう

根管治療中に痛みがなくなるのは、患者さんにとってはうれしいことです。

しかし、

「痛みがなくなった=治療終了」

ではありません。

根管治療では、

感染した組織を除去する
↓
根管内を清掃・洗浄・消毒する
↓
状態を確認する
↓
根管充填で封鎖する
↓
必要に応じて土台・被せ物で歯を修復する

ところまで進めることが重要です。

途中で通院をやめると、再感染したり、歯が割れたりして、結果的に歯を残せなくなる可能性があります。

「痛くなくなったし、もうええかな」

と思ったときこそ、自己判断で中断せず、

歯科医師から治療終了と言われるまで、しっかり通院を続けてください。

お友達にご紹介お願いいたします。
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次