新着! 「入れ歯では噛めない…」50代女性が決断したインプラント治療|骨が少なくてもサイナスリフトと同時埋入

「インプラントにしたいけれど、手術が怖い……」

「健康な歯を削ってまでブリッジにはしたくない」

「骨が少なくてもインプラントはできるの?」

歯を1本失っただけでも、その後の治療方法について悩まれる患者様は少なくありません。

今回は、他院で歯が割れているため抜歯が必要と説明され、セカンドオピニオンで当院を受診された50代女性の症例をご紹介します。

患者様は、最初はインプラントへの不安から部分入れ歯を選択されました。しかし、実際に使用する中で治療方法を再検討し、インプラント治療を希望されるようになりました。

ところが、インプラント治療に向けてCT検査を行ったところ、上顎右側6番の残存骨高はわずか4.6mm。

そこで当院では、ラテラルウィンドウ法によるサイナスリフトとインプラント同時埋入を計画しました。

さらに、手術への恐怖心にも配慮し、静脈内鎮静法を併用しています。

2026年10月9日に手術を行い、現在は術後の経過を確認している段階です。

今回は、患者様がインプラントを決断されるまでの経緯から、実際の手術内容までをご紹介します。

目次

他院で「抜歯しかない」と言われ、セカンドオピニオンで来院

今回の患者様は50代の女性です。

歯が割れてしまい、他院で「この歯は抜歯するしかない」と説明を受けられたことが、当院を受診されたきっかけでした。

当院でも診査・診断を行いましたが、残念ながら歯の保存は困難な状態でした。

患者様に状態をご説明し、抜歯を行うことになりました。

しかし、歯科治療は抜歯をして終わりではありません。

抜いた歯の部分をどのように補うのか、残っている歯をどう守っていくのかも大切です。

そこで、抜歯後の治療方法についてご相談することになりました。

インプラント・ブリッジ・入れ歯の3つをご提案

歯を失った部分を補う治療には、主に3つの選択肢があります。

① インプラント

顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を装着する方法です。

隣の歯を大きく削らずに治療でき、固定式であることがメリットです。

一方で、外科手術が必要となり、費用や治療期間の負担もあります。

② ブリッジ

失った歯の両隣などを支えにして、連結した人工歯を装着する方法です。

固定式で取り外しの必要がありませんが、支えとなる歯を削る必要がある場合があります。

③ 部分入れ歯

取り外し式の人工歯によって、失った歯を補う方法です。

外科手術が不要で、比較的短期間で製作できることがメリットです。

ただし、金属製のバネが見える場合や、装着時の違和感、噛み心地の違いなどが気になる方もいらっしゃいます。

今回の患者様は、健康な歯を削ることを望まれていませんでした。

また、インプラントについては費用面のイメージや手術への恐怖心もありました。

そのため、最初は部分入れ歯を選択されました。

最初に製作したのは、1本欠損用の部分入れ歯

上顎右側6番の欠損部に製作した金属製クラスプ付き部分入れ歯

こちらは、今回の患者様に製作した部分入れ歯です。

失った歯を補う人工歯が1本あり、歯ぐきに接するピンク色の義歯床と、周囲の歯に引っ掛ける金属製のバネ(クラスプ)で構成されています。

1本だけ歯を失った場合にも、このような部分入れ歯が治療の選択肢となります。

部分入れ歯は、外科手術を行わずに欠損部分を補うことができる、一般的な治療方法の一つです。

ただし、金属製のバネが目立つ場合や、取り外し式であることによる違和感、咀嚼時の安定性などが課題になることもあります。

今回も、患者様のご希望に沿って部分入れ歯を製作しました。

入れ歯の使用を経て、インプラント治療へ方針を変更

入れ歯の製作後、患者様は実際に日常生活の中で使用されました。

しかし、使用する中で、見た目や噛み心地、食事のしにくさなどについて、改めて治療方法を検討することになりました。

入れ歯は決して悪い治療ではありません。

外科手術を避けたい方や、全身状態などの理由でインプラントが難しい方にとっても、重要な選択肢です。

ただし、患者様の生活習慣や希望、欠損部分の状態などによって、適した治療方法は異なります。

今回の患者様は、改めてご相談を重ねた結果、インプラント治療を希望されました。

そこで、インプラント治療に向けた精密検査を行うことになりました。

インプラント治療を希望。しかし上顎の骨が少ないことが判明

インプラント治療を行うには、人工歯根を支える顎の骨が必要です。

特に上顎の奥歯では、上顎洞(じょうがくどう)という空洞が存在するため、骨の高さが不足していることがあります。

骨が少ない状態で無理にインプラントを埋入すると、十分な支持を得られない可能性があります。

そのため、当院ではCT検査によって骨の高さや幅、上顎洞の位置などを確認し、治療計画を立てています。

術前CTで確認した骨の状態

サイナスリフト術前の上顎右側6番欠損部を示すCTパノラマ再構成像

こちらが、今回の患者様の術前CT画像です。

上顎右側6番の欠損部分では、上顎洞が近接しており、骨の高さが不足していることが確認されました。

さらにCTの断面像を確認すると、具体的な骨の高さが明らかになりました。

残存骨高はわずか4.6mm

上顎右側6番の残存骨高4.6mmを示すサイナスリフト術前CT断面像

今回の患者様の上顎右側6番部では、歯槽頂から上顎洞底までの残存骨高が4.6mmでした。

インプラントを安定して支えるためには、骨の高さだけでなく、幅や質なども重要です。

今回計画していたインプラントを埋入するには、残存骨の高さが不足していたため、骨造成を併用する方針となりました。

残存骨高4.6mmに対して、長さ12mmのインプラントを計画

残存骨高4.6mmに対して直径4.8mm・長さ12mmのインプラントを計画したCT画像

こちらは、実際のCTデータを使用したインプラント埋入シミュレーションです。

今回計画したインプラントは、ストローマン社製の「Bone Level Tapered(BLT)Roxolid SLActive」です。

直径4.8mm、長さ12mmのインプラントを選択しました。

しかし、もともとの骨の高さは4.6mmしかありません。

そこで必要になったのが、**サイナスリフト(上顎洞底挙上術)**です。

サイナスリフトは、上顎洞底の粘膜を挙上し、骨を形成するためのスペースを確保する治療です。

骨補填材などを使用することで、将来的にインプラントを支持する骨の形成を目指します。

ラテラルウィンドウ法によるサイナスリフトを実施

サイナスリフトの模式図

今回選択したのは、**ラテラルウィンドウ法(側方アプローチ)**によるサイナスリフトです。

ラテラルウィンドウ法とは、上顎洞の側面に開窓部を設け、そこから上顎洞粘膜(シュナイダー膜)を慎重に挙上する方法です。

挙上した粘膜の下に骨補填材を填入し、骨が形成されるスペースを確保します。

上顎の骨の高さが大きく不足している場合や、骨造成の範囲などを考慮して選択される治療方法です。

サイナスリフトとインプラントを同日に行う「同時埋入」

サイナスリフトを併用する場合、主に2つの治療方法があります。

① サイナスリフト後、骨の成熟を待ってからインプラントを埋入する方法

先に骨造成を行い、一定期間を経てからインプラントを埋入します。

② サイナスリフトとインプラント埋入を同日に行う方法

骨造成とインプラント埋入を一度の手術で行います。

今回の患者様には、②の同時埋入法を選択しました。

同時埋入の大きなメリットは、骨造成後に改めて別日にインプラント埋入手術を行う工程を省略できることです。

ただし、すべての症例で同時埋入が可能なわけではありません。

残存骨量や骨質、インプラントの初期固定、上顎洞の状態などを総合的に判断する必要があります。

また、同時埋入であっても、骨の形成・成熟やインプラントと骨の結合を待つ期間は必要です。

当院では、患者様ごとの状態を確認し、適切と考えられる方法を選択しています。

手術への恐怖心に配慮し、静脈内鎮静法も併用

今回の患者様が最初にインプラントを選択されなかった理由の一つが、手術に対する恐怖心でした。

歯科治療の中でも、インプラントや骨造成などの外科処置に不安を感じられる患者様は少なくありません。

そこで今回の手術では、静脈内鎮静法を併用しました。

静脈内鎮静法とは、点滴から鎮静薬を投与することで、不安や緊張を和らげながら歯科治療を受けていただく方法です。

一般的には自発呼吸を維持しながら行いますが、鎮静の深さには個人差があり、呼吸抑制や血圧低下などのリスクもあるため、適切なモニタリングと全身管理が必要です。

当院では、歯科治療への不安が強い方や、外科手術に恐怖心のある方にも、静脈内鎮静法という選択肢をご案内しています。

静脈内鎮静法について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

静脈内鎮静法について詳しくはこちら

2026年10月9日、サイナスリフトとインプラント同時埋入を実施

2026年10月9日、ラテラルウィンドウ法によるサイナスリフトとインプラント埋入手術を行いました。

インプラントは術前のシミュレーションどおり、ストローマン社製のBLT Roxolid SLActive、直径4.8mm・長さ12mmを使用しています。

今回は、サイナスリフトによる骨造成処置とインプラント埋入を同日に実施することができました。

術後のパノラマX線写真

ラテラルウィンドウ法によるサイナスリフトとインプラント同時埋入後のパノラマX線写真

こちらが、手術後に撮影したパノラマX線写真です。

上顎右側6番部にインプラントが埋入されており、その上方にはサイナスリフトによる骨造成領域が認められます。

今回の症例では、残存骨高4.6mmという骨量が限られた状態に対して、上顎洞底を挙上し、骨補填材を用いた骨造成とインプラント埋入を同時に実施しました。

術後の画像では、インプラントの埋入位置と骨造成を行った範囲を確認できます。

ただし、手術直後の画像に写っている骨造成領域は、主に填入した骨補填材などによるものです。

これから時間をかけて骨の形成・成熟が進むことを期待しながら、慎重に経過を確認していきます。

手術翌日の診察も終了。これからが大切な治癒期間です

手術翌日の2026年10月10日には、術後の状態確認のために来院していただきました。

今回のインプラント埋入手術は終了しましたが、インプラント治療そのものは、まだ途中の段階です。

これから骨造成部の治癒や、インプラントと骨の結合状態を確認していく必要があります。

その後、適切な時期に上部構造(人工歯)を製作・装着していく予定です。

インプラントは、埋入しただけで治療が完了するわけではありません。

最終的に人工歯を装着し、適切な噛み合わせや清掃性を確保したうえで、長期的に維持していくことが大切です。

骨が少ないと言われても、インプラント治療を検討できる場合があります

「骨が少ないため、インプラントはできません」

そのような説明を受けた方でも、骨造成を併用することで治療を検討できる場合があります。

今回の症例では、残存骨高4.6mmという条件に対して、ラテラルウィンドウ法によるサイナスリフトを併用し、インプラントを同日に埋入しました。

ただし、骨造成を行えば必ずインプラントができるわけではありません。

骨の幅や質、上顎洞の状態、全身状態などによっては、別の治療方法をご提案する場合もあります。

重要なのは、CT検査などによる診断を行い、治療の選択肢とリスクを十分に理解したうえで、ご自身に合った方法を選ぶことです。

まとめ|入れ歯からインプラントへ。そして治療は次のステップへ

今回ご紹介したのは、他院で抜歯が必要と説明を受け、セカンドオピニオンで来院された50代女性の症例です。

当院でも歯の保存は困難と判断し、抜歯後は患者様の希望に沿って部分入れ歯を製作しました。

しかし、その後の使用状況を踏まえて治療方法を再検討し、インプラント治療を選択されました。

インプラント治療に向けたCT検査では、上顎右側6番の残存骨高は4.6mm。

そこで、ラテラルウィンドウ法によるサイナスリフトとインプラント同時埋入を行い、手術への不安に配慮して静脈内鎮静法も併用しました。

今回の手術は終了しましたが、最終的な上部構造はまだ装着していません。

これから骨の治癒とインプラントの安定を確認しながら、最終的な歯の完成を目指して治療を進めていきます。

今回の症例が、最終的にどのような仕上がりになるのか。

上部構造が完成した際には、実際の症例写真とともに、またこのブログでご報告したいと思います。

今回はここまでです。

続編もぜひご覧ください!

大津市・滋賀県でインプラント治療をご検討中の方や、骨が少ないと言われてお悩みの方は、当院のインプラント治療ページもご覧ください。

びわ湖大津デンタルクリニックのインプラント治療はこちら

症例概要・治療内容

項目内容
年齢・性別50代女性
治療部位上顎右側6番
受診経緯他院で歯の破折による抜歯を説明され、セカンドオピニオンで来院
初期治療抜歯・部分入れ歯製作
その後の治療サイナスリフト・インプラント同時埋入
術前残存骨高4.6mm
骨造成術式ラテラルウィンドウ法
インプラントStraumann BLT Roxolid SLActive
サイズ直径4.8mm・長さ12mm
鎮静方法静脈内鎮静法
手術日2026年10月9日
現在の状況インプラント埋入後・治癒経過観察中
治療期間・回数治療継続中(確定後に記載)
治療費※実際の総額を追記
主なリスク・副作用疼痛、腫脹、出血、感染、上顎洞粘膜損傷、上顎洞炎、骨造成の不成功、インプラントの骨結合不全、静脈内鎮静に伴う呼吸・循環抑制など

※治療の適応および経過には個人差があり、同様の結果を保証するものではありません。

お友達にご紹介お願いいたします。
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次