#085 アゴがカクカク鳴る…これ大丈夫なん?

アゴがカクカク鳴るのは大丈夫なのか歯科医師に質問する患者さんの4コマ漫画
アゴのカクカク音には顎関節の関節円板の位置や動きの変化が関係することがあると説明する歯科医師
アゴが鳴っても痛みがなく口が十分に開き生活に支障がなければ経過を見ることがあると説明する歯科医師
アゴの痛み・口の開けにくさ・ロック・関節音の悪化がある場合は歯科医院へ相談するよう説明する歯科医師

【4コマ解説】

目次

アゴがカクカク鳴る…これ大丈夫なん?

「口を開けるたびにアゴがカクッて鳴る……」
「痛くはないけど、このまま放っといてええの?」
「これって顎関節症なん?」

口を開けたり閉じたりしたときに、

カクッ
コキッ
パキッ

とアゴの関節から音がする方は珍しくありません。

結論からいうと、アゴが鳴るだけで、すぐに治療が必要とは限りません。

痛みがなく、

普通に口が開く
食事に困らない
アゴが途中で引っかからない

のであれば、経過を見ることもあります。

一方で、

アゴが痛い
口が開けにくい
途中で引っかかる
アゴがロックする

といった症状がある場合には、一度状態を確認した方がよいでしょう。

そもそもアゴの関節ってどこにあるん?

顎関節は、耳の少し前あたりにあります。

指を耳の前に当てた状態で口を開け閉めすると、動いている部分を感じると思います。

この顎関節は、

下アゴの骨
頭蓋骨
その間にある関節円板
周囲の筋肉や靱帯

などが協力して動いています。

単純な蝶番のように開くだけではなく、下アゴが回転しながら前方へ移動することで、大きく口を開くことができます。

「関節円板」って何?

顎関節の中には、関節円板と呼ばれるクッションのような組織があります。

下アゴの骨と頭蓋骨の間にあり、アゴの動きを滑らかにする役割をしています。

この関節円板の位置や動きが変化すると、口を開け閉めしたときに、

カクッ

というクリック音が出ることがあります。

ただし、

「アゴが鳴る原因は全部、関節円板のズレ」

というわけではありません。

関節音にはさまざまな状態が関係するため、音だけで原因を断定することはできません。

カクッて鳴る仕組みは?

顎関節のクリック音の一部では、アゴを閉じているときに関節円板と下アゴの骨の位置関係が変化しており、口を開ける途中で関節円板との位置関係が変わる際に、

「カクッ」

と音がすることがあります。

そのあと口を閉じるときにも音がすることがあります。

こうした状態でも、

痛みがない
普通に口を開けられる
日常生活に支障がない

のであれば、必ずしも治療が必要とは限りません。

アゴが鳴ったら顎関節症なん?

「顎関節症」という言葉は一つの病気だけを指すものではありません。

顎関節や噛むための筋肉などに関連するさまざまな状態をまとめて扱います。

代表的な症状としては、

アゴの関節や筋肉が痛い
口を開けにくい
アゴがロックする
動かすと痛みを伴って音がする

などがあります。

一方、

痛みのないクリック音だけ

であれば珍しいものではなく、それだけで積極的な治療が必要とは限りません。

アゴが鳴るけど痛くない。放っといてええの?

痛みがなく、口も問題なく開き、食事や会話にも支障がなければ、経過を見ることがあります。

つまり、

「音がするから、何としてでも音を消さなあかん」

という考え方ではありません。

むしろ、音だけを治す目的で必要以上の治療を行わないことも大切です。

ただし、今後、

音と一緒に痛みが出てきた
以前より開けにくくなった
途中で引っかかるようになった

といった変化があれば、一度診てもらいましょう。

指3本入ったら大丈夫って聞いたけど?

「口の中に指が縦に3本入れば大丈夫」

という話を聞いたことがあるかもしれません。

確かに、自分で口の開き具合を確認する簡単な目安として使われることはあります。

しかし、

指3本入る=顎関節に絶対問題がない
指3本入らない=必ず顎関節症

という診断方法ではありません。

指の太さには個人差がありますし、もともとの口の開き方も人によって違います。

大切なのは、

以前より開かなくなっていないか
開けると痛いか
食事に支障があるか
途中でアゴが引っかかるか

などです。

どれくらい口が開かなかったら歯医者に相談した方がいい?

数字だけで判断するより、

以前と比べて明らかに開きにくい
食事がしにくい
大きなものを口に入れられない
あくびで痛い
開ける途中で止まる

といった変化がある場合には、一度相談してください。

特に、

急に口が開かなくなった

場合には、早めに状態を確認した方がよいでしょう。

アゴが途中で引っかかるのは何?

口を開けようとしたときに、

「途中で引っかかる」
「一回ずらしたら開く」

と感じる方もいます。

顎関節内部の動きがスムーズではない可能性があります。

また、症状が進むと、

以前はカクカク鳴っていたのに、急に音がしなくなって口も開かなくなった

ということが起こる場合があります。

これは関節円板の動きなどが関係している可能性があります。

音が消えたから、

「治った!」

とは限らないケースもあるということです。

アゴがロックするってどういう状態?

顎関節では、

口が開かなくなる
あるいは
口が閉じにくくなる

ような状態が起こることがあります。

「朝起きたら急に口が開けられない」
「大きく口を開けたあと閉じられなくなった」

といった場合には、無理やり自分で動かそうとせず、歯科・口腔外科などへ相談してください。

アゴを鳴らすクセがあるけど大丈夫?

「首や指を鳴らすみたいに、アゴもわざとカクッと鳴らしている」

という方がおられます。

音が鳴るからといって、

わざと何度もアゴを鳴らす必要はありません。

大きくアゴを動かす動作を繰り返すことで、関節や周囲の組織へ負担がかかる可能性があります。

「鳴らすとスッキリする」

としても、習慣的に無理やり鳴らすことは避けましょう。

大きなあくびもアゴには負担になるん?

顎関節に痛みがある時期には、

非常に大きく口を開ける
硬いものを長時間噛む
ガムを長時間噛む

といった動作で症状が悪化することがあります。

症状が強い時期は、

あくびでは口を大きく開けすぎない
硬いものを控える
アゴを休ませる

など、負担を減らすことが対策になります。

アゴの痛みと歯ぎしり・食いしばりは関係ある?

歯ぎしり・食いしばりによって、アゴを動かす筋肉へ負担がかかることがあります。

特に、

朝起きるとアゴがだるい
頬の筋肉が疲れている
こめかみ周辺が重い

といった症状がある場合には、睡眠中の歯ぎしり・食いしばりも確認します。

詳しくは、

「#082 朝起きたらアゴがだるい…これ食いしばり?」

をご覧ください。

歯ぎしりしてたら顎関節症になるん?

歯ぎしり・食いしばりと顎関節や筋肉への負担が関連することはあります。

ただし、

「歯ぎしりしている人は必ず顎関節症になる」

というわけではありません。

顎関節症には複数の要因が関係していると考えられています。

そのため、一つの原因だけで説明しないことが大切です。

歯ぎしりそのものについては、

「#081 歯ぎしりって、自分では気づかへんの?」

も参考にしてください。

噛み合わせが悪いから顎関節症になるん?

ここは誤解されやすいところです。

以前は、

「噛み合わせが悪いから顎関節症になる」

という説明が広く行われることがありました。

しかし現在は、顎関節症を単純に噛み合わせだけで説明することはできません。

そのため、顎関節症を治すことだけを目的に、

健康な歯を大きく削って噛み合わせを変える

ような不可逆的な治療を安易に行うべきではありません。

まずは症状を確認し、できるだけ身体への負担が少なく、元に戻せる治療から考えます。

じゃあ顎関節症はどうやって治療するん?

症状によって異なりますが、多くの場合、まずは保存的な方法から検討します。

たとえば、

硬い食べ物を一時的に控える
ガムなど長時間噛む習慣を減らす
大きく口を開けすぎない
食いしばりに気づいたら力を抜く
温める、または症状に応じたケアを行う
必要に応じて鎮痛薬を使用する

などです。

症状によっては運動療法などを行うこともあります。

顎関節症は、いきなり大がかりな治療から始めるのではなく、まず簡単で元に戻せる方法から考えるのが基本です。

マウスピースを作った方がええの?

歯ぎしり・食いしばりがあり、歯を保護する必要がある場合などには、マウスピースを使用することがあります。

ただし、

アゴが鳴る人全員にマウスピースが必要

というわけではありません。

また、マウスピースを使用すれば、

クリック音が必ず消える
顎関節症が必ず治る

とも限りません。

症状や治療目的を確認したうえで使用するかどうかを判断します。

歯ぎしり用マウスピースについては、

「#084 マウスピースしたら、歯ぎしり治るん?」

で詳しく解説しています。

マウスピースで痛くなったら?

マウスピースを使用して、

アゴの痛みが強くなった
歯が痛くなった
噛み合わせに強い違和感が続く

という場合は、我慢して使い続けず、歯科医院へ相談してください。

マウスピースは、永久的に噛み合わせを変える目的で使用するものではありません。

アゴが鳴るから歯を削って噛み合わせを合わせてもらった方がいい?

音だけを治す目的で、すぐに健康な歯を削ることはおすすめできません。

顎関節症については、歯を削るなど噛み合わせを永久的に変える治療の有効性を支持する十分な根拠はありません。

まずは、

痛みがあるのか
開けにくいのか
ロックがあるのか
生活にどの程度影響しているのか

を確認します。

そのうえで、必要な場合にはできるだけ保存的・可逆的な方法から治療を考えます。

アゴの音って、そのうち悪化するん?

音があるからといって、必ず症状が悪化していくわけではありません。

長年クリック音があっても、

痛くない
普通に口が開く
食事にも困らない

という方もいます。

逆に、

痛みが出てきた
開けにくくなった
引っかかるようになった

という変化がみられる場合には確認が必要です。

大切なのは、

音の有無だけではなく、機能や痛みが変化していないか

を見ることです。

「昔から鳴ってるから大丈夫」と放置してもええ?

長年同じ音がするだけで、痛みも機能障害もなければ、積極的な治療を必要としない場合があります。

ただし、

「昔から鳴ってるから、どんな症状が出ても大丈夫」

ではありません。

新しく、

痛み
口の開けにくさ
ロック
噛み合わせの変化

などが出た場合には、一度確認しましょう。

顎関節症ってレントゲンで分かるん?

診断では、まず症状やアゴの動き、筋肉や関節の状態などを確認します。

必要に応じて、

レントゲン
CT
MRI

などの画像検査を検討することがあります。

ただし、

アゴが鳴る人全員にMRIが必要

というわけではありません。

症状や診察結果から、必要性を判断します。

耳の近くが痛いのもアゴのせい?

顎関節は耳のすぐ前にあります。

そのため、顎関節や周囲の筋肉の症状を、

耳の前が痛い
耳の奥が痛い感じがする

と感じる方もいます。

ただし、耳の症状には耳そのものの病気など別の原因もあります。

耳の痛みや聞こえにくさなどがある場合には、必要に応じて耳鼻科などでの確認も検討します。

どんなときに歯医者へ行った方がええ?

アゴの音だけなら、すぐ治療が必要ではないことも多いです。

一方、

アゴが痛い
痛みが続いている
以前より口が開きにくい
食事に支障がある
アゴが途中で引っかかる
口が開かない・閉じない
急に噛み合わせが変わったように感じる

といった場合には、一度相談してください。

また、転倒や事故などでアゴを強く打ったあとに症状が出た場合も、早めの確認をおすすめします。

歯ぎしり・食いしばりも一緒に確認しましょう

顎関節やアゴの筋肉に症状がある方では、

歯ぎしり
日中の食いしばり

などがないかも確認します。

歯ぎしりを放置した場合については、

「#012 歯ぎしりって、放っといたらアカン?」

も参考にしてください。

アゴが「カクカク鳴るだけ」なら、慌てなくてもいいことがあります

今回のポイントをまとめます。

口を開け閉めしたときの、

カクッ
コキッ
パキッ

という関節音は珍しいものではありません。

そして、

痛みがない
普通に口が開く
ロックしない
食事や会話に困らない

のであれば、音だけを理由に治療する必要がない場合もあります。

一方、

痛みを伴う
口が開けにくい
途中で引っかかる
アゴがロックする
症状がだんだん悪化している

場合には、一度状態を確認しましょう。

そして顎関節症の治療では、

「音がするから、とりあえず歯を削って噛み合わせを変える」

という考え方ではなく、

まず症状を確認して、必要であれば保存的で元に戻せる方法から対応することが大切です。

「アゴがカクカク鳴る」
「最近、口が開けにくくなってきた」
「アゴが痛い」
「食いしばりも気になる」

という方は、一度ご相談ください。

音だけなのか、治療が必要な症状が伴っているのかを確認したうえで、必要な対応を考えていきましょう。

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