#048 型取りでオエッてなる… どうしたらええの?

歯の型取りでオエッとなる嘔吐反射に悩む患者さんの4コマ漫画
歯の型取りでオエッとなる人は珍しくないと説明する歯科医師
型取りの嘔吐反射を姿勢や鼻呼吸、小さめのトレーなどで軽減する方法を説明する歯科医師
嘔吐反射が強い方に歯の型取りの代わりとして口腔内スキャナーを説明する歯科医師

【4コマ解説】

目次

型取りでオエッてなる…どうしたらええの?

「歯の型取りが苦手」
「型取りの材料を入れられるとオエッとなる」
「固まるまで待っている時間が耐えられない」

このような経験がある方は少なくありません。

特に嘔吐反射が強い方にとって、歯科治療の中でも「型取り」は大きな負担になることがあります。

しかし、型取りでオエッとなるからといって、歯科治療を諦める必要はありません。

姿勢や呼吸、型取りの方法を工夫したり、治療内容によっては口腔内スキャナーを使用したりすることで、負担を軽減できる場合があります。

まずは、

「型取りをするとオエッとなります」

と歯科医師やスタッフに伝えてください。

どうして歯の型取りでオエッとなるの?

従来の歯の型取りでは、トレーと呼ばれる器具に印象材という材料を入れ、それを口の中に一定時間入れて歯型を取ります。

このとき、

  • トレーが舌の奥に近づく
  • 型取り材が口の奥に広がる
  • 口の中に異物が入っている感覚が続く
  • 唾液がたまる
  • 「吐いたらどうしよう」と緊張する

などがきっかけとなり、嘔吐反射が起こることがあります。

嘔吐反射そのものは、身体を異物から守るための正常な反射です。

ただし、反射の強さにはかなり個人差があります。

「型取りが苦手」と最初に伝えてください

型取りでオエッとなった経験がある方は、治療を始める前にそのことを教えてください。

「前回の型取りで吐きそうになった」
「奥まで器具が入ると無理」
「型取りが一番怖い」

など、具体的に伝えていただくと対応しやすくなります。

我慢して型取りを始めてしまい、途中で限界になるよりも、

最初から嘔吐反射が強いことを共有しておくこと

が大切です。

姿勢を変えると楽になることがあります

嘔吐反射が強い方では、診察台を大きく倒した状態よりも、少し身体を起こした状態の方が楽な場合があります。

型取りの種類や治療内容にもよりますが、可能な範囲で姿勢を調整します。

患者さんによって楽に感じる角度は違うため、

「この角度なら大丈夫」

という位置を探しながら行うこともあります。

鼻でゆっくり呼吸してみましょう

型取り中に口で呼吸しようとすると、口の中にあるトレーや材料を余計に意識してしまうことがあります。

可能であれば、

鼻からゆっくり息を吸って、鼻からゆっくり吐く

ことを意識してみてください。

また、

「オエッとなったらどうしよう」

と考え続けると、緊張によって嘔吐反射が強くなることもあります。

呼吸に意識を向けることで、少し楽になる方もいます。

型取りの器具を工夫できる場合もあります

お口の大きさや治療内容に応じて、できるだけ負担の少ないトレーを選択できる場合があります。

また、

  • 必要以上に奥まで器具を入れない
  • 型取り材の量を調整する
  • 短時間で進める
  • 途中でつらくなったときの合図を決める

などの工夫も行います。

嘔吐反射には個人差があるため、一つの方法ですべての方が楽になるわけではありません。

その方がどのような刺激でオエッとなりやすいのかを確認しながら対応することが大切です。

口腔内スキャナーなら、従来の型取りが不要な場合があります

治療内容によっては、従来の型取り材を使用せず、口腔内スキャナーで歯型をデジタルデータとして読み取れる場合があります。

口腔内スキャナーは、小型のカメラをお口の中に入れて歯を順番に読み取り、立体的な歯型データを作る機器です。

従来のように、

型取り材を口の中いっぱいに入れて、固まるまで待つ

必要がないため、型取りが苦手な方にとって負担を軽減できる場合があります。

特に、

「型取り材が喉の近くまで来る感じが無理」
「固まるまで待っていると吐きそうになる」

という方には、選択肢の一つになります。

口腔内スキャナーでもオエッとなることはあります

口腔内スキャナーであれば、すべての方の嘔吐反射がなくなるわけではありません。

スキャナーの先端をお口の中に入れる必要はあるため、口の中への刺激そのものに非常に敏感な方では、嘔吐反射が起こる可能性があります。

また、治療内容によっては従来の型取りが必要になる場合もあります。

そのため、

「嘔吐反射がある=必ず口腔内スキャナーで解決できる」

というわけではありません。

どの方法が適しているかは、治療する歯や作製するものによって判断します。

型取りだけでなく、歯科治療全般でオエッとなる方へ

「型取りだけが苦手」という方もいれば、

「歯ブラシを奥に入れるだけでもオエッとなる」
「奥歯を触られると吐きそうになる」
「レントゲンの器具を口に入れるのも無理」

という方もいます。

このように歯科治療全般で嘔吐反射が強く出る方については、型取りだけではなく治療方法そのものを工夫する必要があります。

そのような方は、4コマの
「#047 オエッてなるから…歯医者が無理…治療できるん?」
でも詳しく解説しています。

「またオエッとなるかも」という不安が強い方もいます

過去の型取りで非常につらい経験をすると、

「またあれをやられるんかな」
「今度こそ吐いてしまうかもしれない」

という不安だけで、嘔吐反射が起こりやすくなることがあります。

実際に器具が喉に触れていなくても、緊張によって吐き気を感じる方もいます。

そのため、

「我慢して一気に型取りを終わらせる」

ことだけが解決方法ではありません。

過去にどのような場面でつらかったのかを確認しながら、できるだけ負担の少ない方法を考えていきます。

それでも歯科治療が難しい場合には静脈内鎮静法という選択肢があります

型取りだけではなく、歯科治療全般で強い嘔吐反射があり、

「口の中に器具が入るだけで治療ができない」

という場合には、適応を確認したうえで静脈内鎮静法を検討することがあります。

静脈内鎮静法では、点滴から鎮静薬を投与し、リラックスした状態で歯科治療を行います。

緊張や不安が和らぐことで、嘔吐反射が軽減される場合があります。

当院では、嘔吐反射が強く通常の歯科治療が難しい方に対する静脈内鎮静法にも対応しています。

嘔吐反射が強い方を静脈内鎮静法で治療した症例もあります

当院では実際に、強い嘔吐反射によって通常の歯科治療が難しかった患者さんに、静脈内鎮静法を使用して治療した症例があります。

「嘔吐反射があると本当に治療できるの?」
「自分と同じような人はいる?」

型取りでオエッとなっても、歯科治療を諦めなくて大丈夫です

型取りでオエッとなると、

「自分は歯医者で治療できない」
「また型取りされると思うと行きたくない」

と感じてしまうかもしれません。

しかし、型取りの方法にはいくつかの工夫があります。

姿勢を調整する
鼻呼吸を意識する
器具や材料を工夫する
治療内容によって口腔内スキャナーを使用する

など、その方に合った方法を考えることができます。

さらに、型取りだけでなく歯科治療全般で嘔吐反射が非常に強い場合には、静脈内鎮静法を検討できることもあります。

「型取りでオエッとなります」

という一言からで構いません。

無理に我慢せず、まずは歯科医師やスタッフにご相談ください。

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