親知らずを放置すると手前の歯が虫歯に?斜めに生えた親知らずの抜歯症例

「親知らずは痛くないから、そのままでも大丈夫」
そう思っていませんか?
親知らずそのものに痛みや虫歯がなくても、生え方によっては手前の大切な歯に悪影響を及ぼすことがあります。
今回ご紹介する患者さんの主訴は、
「親知らずのところに物が詰まる」
というものでした。
検査してみると、左下の親知らずが斜めに生えており、その影響で手前の第二大臼歯(左下7番)の親知らず側に虫歯ができていました。
親知らずを放置することで起こり得る問題がよく分かる症例です。
「親知らずに物が詰まる」と来院
今回の患者さんは、左下の親知らず付近に食べ物が詰まることを気にされて来院されました。
親知らずが斜めに生えていると、手前の歯との間に歯ブラシが届きにくいスペースができることがあります。
そこに食べ物やプラークが停滞すると、親知らずだけではなく手前の第二大臼歯まで虫歯になることがあります。
今回もまさにその状態でした。
親知らずの手前の歯に虫歯ができていました

下顎の親知らずを抜歯するときに重要なのが、下顎管との位置関係です。
下顎管の中には下歯槽神経などが走行しているため、親知らずの根と近接している場合には、抜歯前に位置関係を慎重に確認する必要があります。
今回、パノラマレントゲンでは親知らずと下顎管がかなり近いように見えました。
そこで、より立体的に位置関係を確認するためCT撮影を行いました。
CTで親知らずと神経の位置関係を確認

〇が下顎管です。
CTで確認すると、親知らずと下顎管は近接していましたが、三次元的な位置関係を把握することができました。
二次元のレントゲン写真だけでは、親知らずの根と下顎管が「重なって見えている」のか、実際にどの方向で近接しているのか判断が難しいことがあります。
そのようなケースでは、CTによって立体的な位置関係を確認することが、安全に配慮した抜歯計画を立てるうえで重要です。

今回のケースは、親知らずが原因で左下7の遠心が虫歯になってしまっていました。
デンタルからも分かる通り、おそらく抜髄です。( ;∀;)
そして、保険治療で補綴をすると銀歯になってしまいます。
あと半年でも早く検診に来ていただいていたら、抜髄を避けれたかもしれません。

今回は親知らずの歯冠部分を分割しながら抜歯しました。
横向き・斜め向きに生えている親知らずでは、そのままの形で無理に抜こうとするのではなく、必要に応じて歯を分割しながら取り出します。
抜歯後は創部を確認して、ドライソケットになりにくいようにテルプラグを入れて終了。
今回の手術時間は約30分でした。
※親知らずの抜歯時間や難易度は、生え方、根の形、骨の状態、下顎管との位置関係などによって異なります。
親知らずを放置する問題は「親知らずだけ」ではありません
今回の症例で最もお伝えしたいのはここです。
親知らずに問題が起きた場合、
「親知らずなら、悪くなったら抜けばいい」
と思われるかもしれません。
しかし問題なのは、親知らずが原因で手前の第二大臼歯まで虫歯になってしまうことがあるという点です。
第二大臼歯は、食事の際にしっかり噛むための大切な永久歯です。
親知らずの生え方によって、
- 食べ物が詰まりやすい
- 歯ブラシが届かない
- 親知らず周囲の歯ぐきが腫れる
- 親知らずが虫歯になる
- 手前の第二大臼歯が虫歯になる
といった問題が生じることがあります。
痛みがないからといって、必ずしも問題がないとは限りません。
「物が詰まる」は一度チェックした方がいいサイン
親知らずと手前の歯の間に頻繁に物が詰まる場合は、一度歯科医院で確認することをおすすめします。
特に斜めに生えている親知らずや、一部分だけ歯ぐきから出ている親知らずは、清掃が難しい場合があります。
虫歯が小さい段階で発見できれば、手前の歯への治療を最小限にできる可能性もあります。
今回の症例でも、もう少し早い段階で発見できていれば、左下7番への影響を小さくできた可能性があります。
親知らずはすべて抜いた方がいい?
すべての親知らずを予防的に抜歯する必要があるとは限りません。
まっすぐ生えていて清掃できている場合や、周囲の歯や歯ぐきに問題を起こしていない場合などは、経過観察できることもあります。
一方で、
- 斜め・横向きに生えている
- 食べ物が頻繁に詰まる
- 親知らず周囲が繰り返し腫れる
- 親知らずに虫歯がある
- 手前の歯に悪影響が出ている
- 清掃が困難で将来的なトラブルが予想される
といった場合には、抜歯を検討することがあります。
「親知らずだから抜く」のではなく、その親知らずを残すメリットとリスクを確認して判断することが大切です。
親知らずの抜歯が怖い方へ
「親知らずを抜いた方がいいのは分かっているけど、怖くて踏み切れない」
という方も少なくありません。
特に、
「抜歯中の痛みが怖い」
「手術そのものが怖い」
「以前の歯科治療で怖い経験をした」
「嘔吐反射が強い」
といった理由で抜歯を先延ばしにしている方もいらっしゃいます。
当院では通常の局所麻酔による親知らず抜歯に加えて、歯科治療に対する恐怖心が強い方などには、適応を確認したうえで静脈内鎮静法を併用した治療も行っています。
→ 親知らずの抜歯が怖い方へ|静脈内鎮静法について詳しくはこちら
大津市で親知らずの抜歯をご検討の方へ
びわ湖大津デンタルクリニックでは、親知らずの生え方や周囲の歯への影響、下顎管との位置関係などを確認したうえで治療方針を検討しています。
「親知らずに物が詰まる」
「斜めに生えていると言われた」
「親知らずの手前の歯が虫歯になっている」
「神経に近いと言われて抜歯が不安」
という方もご相談ください。
必要に応じてCT撮影を行い、親知らずと周囲組織の位置関係を確認して治療計画を立てます。
よくあるご質問
- 親知らずを放置すると手前の歯が虫歯になりますか?
-
必ず虫歯になるわけではありません。ただし、斜めに生えている親知らずなどでは、手前の第二大臼歯との間に汚れが停滞し、虫歯のリスクが高くなることがあります。
- 親知らずに痛みがなくても抜いた方がいいですか?
-
生え方や清掃状態、周囲の歯への影響などによって判断します。痛みがなくても手前の歯に虫歯などの問題が生じている場合には、抜歯を検討することがあります。
- 神経に近い親知らずでも抜歯できますか?
-
親知らずの根と下顎管との位置関係によって判断します。必要に応じてCTで三次元的な位置関係を確認し、抜歯方法やリスクを検討します。
- CTは必ず撮影しますか?
-
すべての親知らずでCTが必要というわけではありません。通常のレントゲン写真で下顎管との位置関係が判断しにくい場合などにCT撮影を検討します。
- 親知らずの抜歯にはどれくらい時間がかかりますか?
-
難易度によって大きく異なります。今回の症例では約30分でしたが、親知らずの生え方、根の形、骨の状態などによって治療時間は変わります。
- 親知らずの抜歯が怖い場合はどうすればいいですか?
-
まず不安に感じていることをご相談ください。当院では適応を確認したうえで、静脈内鎮静法を併用した歯科治療も行っています。
手前の大切な歯を守るためにも、親知らずを確認しましょう
今回の患者さんは「親知らずに物が詰まる」という症状から受診され、検査によって親知らずの影響で手前の第二大臼歯まで虫歯になっていることが分かりました。
親知らず自体に強い痛みがなくても、周囲では問題が進行していることがあります。
特に「物が詰まる」「斜めに生えている」「時々腫れる」といった症状がある方は、一度親知らずと手前の歯の状態を確認しておくことをおすすめします。
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