新着! 奥歯がないけど前歯はある…そのままで大丈夫?保険の部分入れ歯で噛めるようにした症例

奥歯がないけど、前歯があるからそのままにしていませんか?
「奥歯が何本かないけど、前歯は残っているから見た目は普通」
「食事はできるけど、なんとなく噛みにくい」
「インプラントまでは考えていないけど、このままでいいのか気になる」
このような患者さんは、実は珍しくありません。
前歯が残っていると、会話をしたり笑ったりしても歯がないことが目立ちにくいため、奥歯を失った状態のまま長期間過ごしている方もいらっしゃいます。
しかし、見た目に困っていないことと、きちんと噛めていることは別です。
今回ご紹介する患者さんも、前歯はしっかり残っていましたが、下の左右の奥歯が複数本なく、食事の際に噛みにくさを感じておられました。
そこで今回は、保険診療の部分入れ歯を使って左右の奥歯を補い、奥歯で噛める状態を回復しました。
治療前|正面から見ると「歯がない」ようには見えません

正面から見ると、上下の前歯が残っているため、一見すると大きく歯がなくなっているようには見えません。
これが今回の症例で一番お伝えしたいポイントです。
奥歯を失っていても、前歯が残っていれば見た目には大きな変化が出ないことがあります。
そのため、
「まだ前歯があるから大丈夫」
「特別困っているわけではないから、もう少しこのままでいいかな」
と考えてしまいがちです。
しかし、実際に奥歯を確認してみると状況は大きく異なります。
横から見ると、奥歯で噛める場所が少なくなっています


左右から確認すると、奥歯がなくなっていることが分かります。
前歯は主に食べ物を噛み切る役割を担っています。一方、奥歯は食べ物を細かくすりつぶしたり、噛む力を受け止めたりする重要な役割があります。
奥歯がなくなると、残っている歯だけで食事をすることになるため、噛みにくくなるだけでなく、前歯や残っている奥歯に負担が集中することがあります。
上の歯にも治療が必要な部分がありました

上顎にも、破折している歯など治療が必要な部分が認められました。
今回は入れ歯だけを製作するのではなく、お口全体を確認し、必要な部分を保険診療の範囲で治療したうえで、最終的に噛み合わせを回復することにしました。
下から見ると、左右の奥歯が大きく欠損しています

下の歯を上から確認すると、今回の問題がさらに分かりやすくなります。
前歯や小臼歯は残っていますが、その後ろにある左右の奥歯が複数本なくなっています。
正面写真だけでは分かりにくかった「奥歯がない」という状態が、この写真でははっきり確認できます。
患者さん自身も前歯が残っているため日常生活で強く困っているわけではありませんでしたが、実際には食べ物をしっかり噛むための奥歯が不足していました。
奥歯がない状態をそのままにするとどうなる?
「痛くないから、そのままでも大丈夫では?」
と思われるかもしれません。
しかし、歯がなくなると、それまでその歯が受け持っていた噛む力を別の歯が負担することになります。
特に左右の奥歯が複数本なくなると、残っている歯だけに負担が集中しやすくなります。
また、欠損した状態を長期間放置すると、周囲の歯が傾いたり、噛み合っていた反対側の歯が移動したりして、噛み合わせそのものが変化することもあります。
「食事ができるから大丈夫」ではなく、残っている歯をできるだけ長く使うためにも、失った歯をどのように補うかを考えることが大切です。
今回は保険の部分入れ歯で奥歯を回復しました
歯を失った部分を補う方法には、入れ歯、ブリッジ、インプラントなどがあります。
どの方法が適しているかは、失った歯の本数や場所、残っている歯の状態、患者さんの希望、費用などによって異なります。
今回の患者さんは、左右の奥歯が複数本なくなっていたため、保険適用の部分入れ歯で奥歯を補う治療を行いました。
入れ歯について詳しく知りたい方は、当院の「入れ歯」ページもご覧ください。
実際に製作した保険の部分入れ歯

こちらが今回製作した部分入れ歯です。
左右の奥歯を人工歯で補い、残っている歯に金属のバネ(クラスプ)をかけて入れ歯を安定させます。
左右は金属のバーでつながっており、1つの入れ歯としてお口の中に装着します。
保険の部分入れ歯では、基本的にこのような**金属のバネと歯ぐきに似た色のレジン(樹脂)**を使用します。
見た目や装着感には自費の入れ歯と違いがありますが、今回のように「まずは保険治療で奥歯を作って、しっかり噛めるようにしたい」という場合には有効な選択肢の一つです。
治療後|左右の奥歯が入りました

治療後の正面写真です。
正面だけを見ると大きな変化は分かりにくいかもしれません。
しかし、今回の治療の目的は前歯の見た目を大きく変えることではなく、なくなっていた奥歯を作り、噛む機能を回復することです。
横から見ると奥歯で噛める状態になっています


部分入れ歯を装着することで、左右とも奥歯が入りました。
治療前は奥歯がなく、噛める場所が限られていましたが、治療後は左右の奥歯で噛めるように咬み合わせを調整しています。
保険の部分入れ歯では金属のバネが見える場合がありますが、今回は見た目だけではなく、まず噛む機能を回復することを優先しています。
上の歯も保険診療で治療しました

治療前に問題があった上の歯についても、必要な治療を行いました。
今回の治療は高額な自由診療だけでお口全体を作り直した症例ではありません。
必要な治療を保険診療で行い、最終的に入れ歯を使用して噛み合わせを回復した症例です。
ここも今回の記事でぜひお伝えしたい部分です。
下から見ると、なくなっていた奥歯が回復しています

治療前の写真と比較すると分かりやすいと思います。
左右の奥歯がなかったスペースに人工歯が入り、左右の奥歯で噛める状態になりました。
入れ歯は取り外し式なので、ご自身の歯とまったく同じというわけではありません。
しかし、奥歯がない状態のまま前歯や残った歯だけで噛み続けるのではなく、失った部分を補って、お口全体で噛む環境を作ることには大きな意味があります。
「インプラントじゃないとダメ」ではありません
奥歯を失った方から、
「インプラントにしないとダメですか?」
というご質問をいただくことがあります。
インプラントには、取り外す必要がなく、天然歯に近い感覚で噛みやすいというメリットがあります。
一方で、外科手術が必要であり、基本的に自由診療となります。
部分入れ歯は取り外しが必要で、金属のバネが見えたり、慣れるまで違和感が出たりすることがありますが、保険診療で失った複数の歯をまとめて補えるという大きなメリットがあります。
「入れ歯かインプラントか」は、どちらが絶対に優れているというものではありません。
患者さんのお口の状態や希望に合わせて選択することが重要です。
インプラントという選択肢について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

保険の部分入れ歯でも奥歯は作れます
「入れ歯は高齢者がするもの」
「前歯が残っているから、まだ入れ歯はいらない」
というイメージをお持ちの方もいらっしゃいます。
しかし、部分入れ歯は一部の歯を失った方のための治療方法です。
今回のように前歯がしっかり残っていても、左右の奥歯がなくなっていれば部分入れ歯を使用することがあります。
見た目ではほとんど困っていなくても、
「硬いものが噛みにくい」
「左右どちらか一方ばかりで噛んでいる」
「以前より食事に時間がかかる」
「奥歯がないことがずっと気になっている」
という方は、一度お口全体の噛み合わせを確認してみることをおすすめします。
奥歯がない方からよくある質問
- 奥歯がないけど、前歯で食べられるならそのままでもいいですか?
-
すぐに大きな症状が出るとは限りません。
ただし、奥歯がないことで残っている歯に負担が集中したり、周囲の歯が移動して噛み合わせが変化したりすることがあります。
現在困っていなくても、一度歯科医院で状態を確認しておくことをおすすめします。
- 保険でも部分入れ歯は作れますか?
-
はい。
今回の症例も保険診療で製作した部分入れ歯です。
失っている歯の場所や残っている歯の状態などを確認したうえで設計します。
- 入れ歯を入れたら、すぐ何でも噛めますか?
-
完成したその日からまったく違和感なく使えるとは限りません。
最初は異物感や圧迫感が出ることがあり、実際に食事をしながら数回調整してお口に合わせていきます。
痛い部分がある場合は無理に使い続けず、調整することが大切です。
今回の症例まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主訴 | 奥歯がなく、噛みにくいため何とかしたい |
| 治療前の状態 | 前歯は残っているものの、下顎左右の奥歯が複数本欠損 |
| 治療内容 | 必要な歯科治療を保険診療で行い、下顎に保険適用の部分入れ歯を製作 |
| 治療方法 | 保険診療の部分入れ歯 |
| 費用 | 保険診療。自己負担額は保険の負担割合や治療内容によって異なります |
| 治療期間 | 約1年(途中中断) |
| 治療回数 | 20回以上 |
| 主なリスク・注意点 | 装着直後は違和感、痛み、発音しにくさなどが出ることがあります。使用しながら調整が必要です。バネをかける歯には負担がかかるため、残っている歯の清掃と定期的なメインテナンスが重要です。入れ歯や顎の状態は時間とともに変化するため、修理・調整・作り直しが必要になる場合があります |
| 治療結果 | 左右の奥歯を部分入れ歯で補い、奥歯で噛める状態を回復 |
「奥歯がないけど、前歯はある」という方へ
奥歯がなくても前歯が残っていれば、見た目にはそれほど困らないことがあります。
そのため、
「まだ大丈夫」
「もっと歯がなくなってから治療すればいい」
と思ってしまう方も少なくありません。
しかし、歯を失った状態のまま残っている歯だけに負担をかけ続けるより、今ある歯をできるだけ長く残すために、失った部分を補う方法を考えることが大切です。
今回のように、すべてを高額な自由診療で治療しなくても、保険診療の部分入れ歯を使って奥歯を回復できるケースがあります。
「奥歯がないけど、どんな治療をしたらいいか分からない」
「インプラントまでは考えていない」
「できれば保険で治したい」
という方も、お気軽にご相談ください。
当院では、お口の状態と患者さんの希望を確認したうえで、保険診療・自由診療それぞれの選択肢をご説明しています。

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