#073 入れ歯って、ちゃんと噛めるん?
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【4コマ解説】
入れ歯って、ちゃんと噛めるん?
「入れ歯って、ほんまにちゃんと噛めるん?」
「入れたら何でも食べられるようになる?」
「逆に、入れ歯って噛みにくいイメージがあるんやけど……」
入れ歯を作ることになった患者さんから、とてもよく聞かれる質問です。
結論からいうと、入れ歯は失った歯を補い、噛む機能を回復するための治療です。
ただし、天然の歯とまったく同じ感覚・同じ噛み心地になるわけではありません。
入れ歯には入れ歯の特徴があり、最初は違和感があったり、食べにくいものがあったりすることもあります。
そのため、
入れ歯を作る
↓
実際に使う
↓
痛いところや噛み合わせを調整する
↓
少しずつ慣れていく
という過程が大切です。
入れ歯は「歯がない状態」から噛む機能を回復する治療です
奥歯を何本も失っていると、
「前歯だけでも一応食べられてるし……」
と思うことがあります。
しかし、奥歯には食べ物を細かくすりつぶし、強い噛む力を受け止める役割があります。
その部分を入れ歯の人工歯で補うことで、失われていた噛む場所を作り直すことができます。
特に、左右の奥歯が複数なくなっている方では、部分入れ歯を入れることによって左右で噛める状態を目指します。
奥歯がない状態をそのままにしてよいのかについては、
「#071 奥歯ないけど、前歯あるし放っといてええの?」
でも詳しく解説しています。
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天然の歯とまったく同じように噛めるわけではありません
ここは正直にお伝えしておきたいところです。
入れ歯は人工物なので、天然の歯とまったく同じではありません。
天然歯は歯の根が顎の骨の中にあり、その周囲には歯根膜があります。
一方、入れ歯は歯ぐきの上に乗せたり、残っている歯を利用したりして支えます。
そのため、
「最初から自分の歯とまったく同じ感覚で何でも食べられる」
というものではありません。
特に使い始めは、
異物感がある
少し動く感じがする
どこで噛めばいいのか分かりにくい
歯ぐきに当たる
といったことがあります。
だからこそ、入れ歯では慣れる期間と調整が重要になります。
新しい入れ歯は、最初から完璧に使えるとは限りません
新しい靴を履いたときに、最初は少し違和感があるのと似ています。
新しい入れ歯も、お口の中にとっては初めて入る人工物です。
舌や頬も、
「この入れ歯がある状態でどう動けばいいのか」
を少しずつ覚えていきます。
そのため、装着した初日から、
「全然違和感ない!何でも噛める!」
という方ばかりではありません。
入れ歯は、患者さんのお口に合わせて作ることと、患者さんが入れ歯に慣れていくことの両方が必要です。
最初は柔らかい食べ物から始めましょう
新しい入れ歯を入れた直後は、いきなり硬い食べ物へ挑戦するより、比較的食べやすいものから始めるとよいでしょう。
たとえば、
ご飯
豆腐
煮物
やわらかい魚
卵料理
などです。
慣れてきたら、少しずつ食べ物の硬さを上げていきます。
また、大きなものをそのまま噛むより、最初は少し小さく切って食べる方が噛みやすいことがあります。
左右でバランスよく噛むことも大切です
入れ歯、特に総入れ歯では、片側だけで強く噛むと入れ歯が傾いたり動いたりすることがあります。
そのため、慣れるまでは食べ物を小さめにして、左右でバランスよく噛むことを意識すると使いやすい場合があります。
「右だけで噛む」
「左しか使わない」
という状態が続く場合には、入れ歯の噛み合わせや痛みなどに問題がないか確認しましょう。
入れ歯が苦手な食べ物もあります
入れ歯でも多くの食べ物を食べることを目指せますが、天然歯より工夫が必要な食べ物もあります。
特に、
非常に硬いもの
粘着性の強いもの
前歯だけで強く噛み切る必要があるもの
などは、入れ歯が動いたり外れたりしやすい場合があります。
ただし、
「入れ歯だからこれは一生食べられない」
と最初から決める必要はありません。
入れ歯の状態や残っている歯によっても違いますので、実際に使用しながら食べ方を工夫していきます。
「噛んだら痛い」は我慢せんでええの?
我慢して使い続ける必要はありません。
新しい入れ歯では、歯ぐきの一部分に強く当たって痛くなることがあります。
その場合は、当たりが強い部分を確認して入れ歯を調整します。
痛いところを我慢して使い続けると、歯ぐきに傷ができることもあります。
反対に、
「痛いから自分で入れ歯を削ろう」
というのもやめてください。
どこが当たっているのか分からなくなり、入れ歯の適合や噛み合わせを悪くしてしまう可能性があります。
痛いところがあれば、その状態のまま歯科医院へ持ってきてください。
入れ歯は「完成したら終わり」ではありません
型を取って入れ歯を作り、完成したものを装着したら治療終了。
そう思われるかもしれません。
しかし実際には、装着後に、
歯ぐきに強く当たっていないか
噛み合わせは合っているか
入れ歯が動きすぎないか
食事がしやすいか
などを確認しながら調整していきます。
つまり、
入れ歯は作ったその日がゴールではなく、実際に使える状態へ合わせていくことも治療の一部
です。
「入れ歯で噛めない」のには原因があります
入れ歯を使っていて、
「全然噛めへん」
「すぐ外れる」
「食べ物を噛むと痛い」
という場合には、単に、
「入れ歯やから仕方ない」
で終わらせるのではなく、原因を確認します。
たとえば、
入れ歯と歯ぐきが合っていない
噛み合わせが合っていない
入れ歯が動きやすい
人工歯がすり減っている
残っている歯の状態が変化している
歯ぐきや顎の骨の形が変わっている
などが考えられます。
原因によっては、調整することで使いやすくなる場合があります。
長く使っている入れ歯が急に噛みにくくなることもあります
お口の中は、ずっと同じ状態ではありません。
歯を失ったあとの顎の骨や歯ぐきの形は、時間とともに変化することがあります。
そのため、何年も使っているうちに、
「昔は普通に噛めてたのに、最近動く」
「食べると痛くなってきた」
「入れ歯と歯ぐきの間に食べ物が入る」
ということがあります。
この場合には、入れ歯の裏側を調整したり、状態によっては作り直したりすることがあります。
以前は噛めていたのに最近噛めないという場合も、一度確認しましょう。
入れ歯安定剤を使えば噛めるようになる?
入れ歯安定剤によって、入れ歯の安定性が改善する場合はあります。
しかし、
合っていない入れ歯を、安定剤だけでずっと使い続ける
ことはおすすめできません。
入れ歯が頻繁に外れる、動く、痛いという場合には、
なぜ安定しないのか
を確認することが先です。
入れ歯や歯ぐきの状態に問題がないかを確認し、必要であれば調整や修理、作り直しを検討します。
部分入れ歯なら、残っている歯も重要です
部分入れ歯は、残っている歯にバネなどをかけて入れ歯を安定させることがあります。
そのため、
残っている歯の状態
が非常に重要です。
入れ歯だけをきれいにしていても、バネをかけている歯が虫歯や歯周病になってしまえば、入れ歯そのものが使いにくくなることがあります。
部分入れ歯を長く使うためには、
入れ歯を清潔にすること
と
残っている自分の歯を守ること
の両方が大切です。
実際に保険の部分入れ歯で奥歯を補った症例があります
当院には、
前歯は残っているけれど、左右の奥歯を複数失っていて噛みにくい
という患者さんに、保険の部分入れ歯を製作した症例があります。
正面から見ると前歯が残っているので、
「歯がそんなにないようには見えない」
状態でした。
しかし、奥歯を見ると噛むための歯が不足していました。
そこで、残っている歯の状態を確認したうえで部分入れ歯を作製し、左右の奥歯で噛める状態の回復を目指しました。
実際の治療前後の写真については、
「奥歯がないけど前歯はある…そのままで大丈夫?保険の部分入れ歯で噛めるようにした症例」
をご覧ください。

入れ歯にもいろいろな種類があります
「入れ歯」とひとことでいっても、
一部の歯を補う部分入れ歯
と
すべての歯を補う総入れ歯
では、構造も使い方も異なります。
また、部分入れ歯でも、残っている歯の本数や位置によって設計は変わります。
そのため、
「知り合いは入れ歯で何でも食べられる」
「家族は入れ歯が全然合わなかった」
という話だけで、ご自身の入れ歯も同じになるとは限りません。
入れ歯治療について詳しく知りたい方は、
をご覧ください。
入れ歯以外の方法もあります
「どうしても取り外し式の入れ歯には抵抗がある」
という場合には、欠損している場所や残っている歯、顎の骨などによって、
ブリッジ
インプラント
を検討できることがあります。
歯を失ったからといって、必ず入れ歯だけが選択肢になるわけではありません。
この点については、
「#072 歯が抜けたら、絶対入れ歯せなあかんの?」
で詳しく解説しています。
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入れ歯は見た目を補う役割もあります
入れ歯の役割は、噛むことだけではありません。
特に前歯を失っている場合には、
歯の見た目
口元の形
発音
を補う役割もあります。
また、多くの歯を失っている場合には、歯がなくなった部分の見た目や口元の支えを補うこともあります。
つまり入れ歯は、
失った歯を人工歯で埋めるだけの装置
ではなく、噛む・話す・見た目など、お口の機能を回復するための治療です。
寝るときも入れ歯を入れっぱなしでええの?
基本的には、特別な指示がない限り、就寝時には入れ歯を外して歯ぐきを休ませることが一般的です。
入れ歯を外したあとは、入れ歯自体をきちんと清掃します。
また、部分入れ歯では残っている歯、特にバネがかかる歯の清掃も重要です。
入れ歯と自分の歯の両方を清潔に保ちましょう。
「噛める入れ歯」にするためには定期的なチェックも必要です
一度調整して噛めるようになった入れ歯でも、
顎の骨や歯ぐきの変化
残っている歯の変化
人工歯の摩耗
噛み合わせの変化
などによって、少しずつ状態が変わることがあります。
そのため、入れ歯を長く使っている方も定期的に確認することが大切です。
「痛くないから大丈夫」
だけではなく、
ちゃんと噛めているか
入れ歯が動いていないか
残っている歯に負担が集中していないか
まで確認します。
入れ歯で噛めるようになるには「調整」と「慣れ」が大切です
今回のポイントをまとめると、
入れ歯は、天然の歯とまったく同じではありません。
しかし、失った歯を補うことで、
食べ物を噛む
見た目を補う
発音を助ける
残っている歯と一緒に噛み合わせを作る
といった機能の回復を目指すことができます。
そして大切なのは、
入れ歯を作ったらそれで終わり
と思わないことです。
最初は柔らかいものから少しずつ慣れ、痛いところがあれば調整し、実際の食事で使いやすい状態へ合わせていきます。
「入れ歯やから噛めへんのは仕方ない」
と諦める必要はありません。
逆に、
「入れ歯にしたら天然歯とまったく同じように何でも噛める」
とも限りません。
現在残っている歯や歯ぐきの状態に合わせて入れ歯を作り、必要な調整を行いながら、できるだけしっかり噛める状態を目指す。
これが入れ歯治療で大切な考え方です。
「今の入れ歯で全然噛めない」
「入れ歯が痛くて使えていない」
「奥歯がないけど、入れ歯にしたら噛めるようになる?」
という方も、一度ご相談ください。






