#054 ラバーダムって、なんで付けなあかんの?

根管治療で使うラバーダムはなぜ必要なのか歯科医師に質問する患者さんの4コマ漫画
ラバーダムは治療する歯だけを口の中から隔離する器具だと説明する歯科医師
ラバーダムで唾液や細菌の侵入を防ぎ器具や薬液から口の中を守る根管治療の説明
ラバーダムは根管治療を清潔かつ安全に行うために重要だと説明する歯科医師

【4コマ解説】

目次

ラバーダムって、なんで付けなあかんの?

根っこの治療をするときに、

「歯の周りにゴムみたいなん付けられたけど、これ何?」
「ちょっと大げさちゃう?」
「なくても治療できるんちゃうの?」

と思ったことはありませんか?

このゴムのシートは、ラバーダムと呼ばれるものです。

ラバーダムは、治療する歯だけをゴムのシートから出して、唾液や舌などから隔離するために使用します。

特に根管治療では、根の中へ細菌をできるだけ入れず、清潔かつ安全に治療するために重要な器具です。

そもそも根管治療では何をしてるの?

根管治療では、虫歯などによって感染した歯の内部を開け、

感染した組織や汚れを取り除く
↓
根管内を清掃・洗浄・消毒する
↓
根の中を材料で封鎖する

という処置を行います。

詳しい治療内容については、
「#051 根っこの治療って、いったい何してるん?」
でも解説しています。

根管治療の目的の一つは、根管内の細菌をできるだけ減らすことです。

そこで問題になるのが、唾液です。

お口の中の唾液には細菌が存在しています

私たちのお口の中には、もともと多くの細菌が存在しています。

当然、唾液の中にも細菌がいます。

根管治療でせっかく歯の内部を清掃・消毒している最中に、唾液が根管内へ入ってしまうと、再び細菌を持ち込む原因になります。

そこでラバーダムを使用し、

治療する歯と、お口の中をできるだけ分離する

わけです。

つまりラバーダムは、

「根の中をきれいにしているところへ、唾液由来の細菌を入れにくくするためのバリア」

と考えると分かりやすいと思います。

ラバーダムをすると、治療する歯だけが外に出ます

ラバーダムでは、ゴムのシートに小さな穴を開け、その穴から治療する歯を出します。

そして歯にクランプと呼ばれる器具などを装着して、シートを固定します。

すると、

治療する歯だけが術野に出て、その周囲のお口の中はシートで覆われた状態

になります。

最初に見ると、

「こんな大がかりなん?」

と思われるかもしれません。

しかし、この状態を作ることで、根管治療を行う場所を唾液などから隔離しやすくなります。

ラバーダムの役割① 唾液や細菌が根管内へ入るのを防ぐ

ラバーダムの大きな目的の一つが、唾液による根管内の汚染を防ぐことです。

根管治療では、感染した根の中から細菌を減らすために清掃・洗浄・消毒を行っています。

その治療中に唾液が入り込んでしまうと、せっかく清掃している根管内へ新たな細菌を持ち込むことにつながります。

ラバーダムで歯を隔離することで、

できるだけ清潔な環境で根管治療を進める

ことができます。

ラバーダムの役割② 小さな器具の誤飲・誤嚥を防ぐ

根管治療では、非常に細く小さな器具を使用します。

代表的なものが、根の中を清掃するために使うファイルと呼ばれる器具です。

このような小さな器具をお口の中で扱うため、万一器具が手から外れた場合には、飲み込んだり気管へ入ったりするリスクがあります。

ラバーダムを装着していれば、お口の奥がシートで覆われているため、

小さな器具がお口や喉の奥へ落ちるのを防ぐための安全対策

にもなります。

つまりラバーダムは、根管治療の成功だけではなく、患者さんの安全を守るという意味でも重要です。

ラバーダムの役割③ 洗浄液がお口に流れるのを防ぐ

根管治療では、器具だけでは取り除けない細菌や汚れを減らすために、根管内を洗浄液で洗浄します。

これらは根管内を消毒するうえで重要ですが、お口の粘膜などにはできるだけ触れさせたくない薬液でもあります。

ラバーダムで治療する歯を隔離することで、洗浄液がお口の中へ流れ出るリスクを減らすことができます。

これも、ラバーダムを使用する重要な理由の一つです。

ラバーダムの役割④ 治療する場所を見やすくする

ラバーダムには、治療する歯を見やすくするメリットもあります。

唾液や舌、頬などが治療する歯の周囲から隔離されるため、術野を確保しやすくなります。

根管治療では、非常に小さな歯の内部を精密に処置します。

そのため、

治療する場所をしっかり確認できる環境を作ること

も大切です。

ラバーダムは単なる「ゴムのカバー」ではなく、根管治療を行う環境そのものを整える役割があります。

「息苦しくないん?」と心配な方へ

ラバーダムを見ると、

「口を覆われたら息できへんのちゃう?」

と心配される方もいます。

ラバーダムで覆うのは主にお口の部分であり、鼻は覆いません。

通常は鼻で呼吸することができます。

ただし、

「鼻で呼吸しにくい」
「閉塞感が苦手」
「ラバーダムを付けると不安になる」

という場合には、治療前にお伝えください。

患者さんの状態を確認しながら対応します。

ラバーダムを付けると痛い?

ラバーダムを固定する際には、歯にクランプと呼ばれる器具を装着することがあります。

装着時に圧迫感を感じる場合はありますが、強い痛みを我慢しながら治療するものではありません。

歯や歯ぐきの状態によって感じ方には個人差があります。

痛みや強い違和感がある場合には、我慢せずにお伝えください。

ラテックスアレルギーがある方は事前に伝えてください

ラバーダムには、天然ゴム(ラテックス)を使用した製品と、ラテックスを使用していない製品があります。

ラテックスアレルギーがある方は、必ず治療前に歯科医師やスタッフへお伝えください。

アレルギー歴を確認したうえで、使用する材料を検討します。

「ラバーダムをしないと根管治療できないの?」

ラバーダムは、根管治療で治療する歯を唾液や細菌から隔離し、器具や薬液から患者さんを守るために非常に重要な方法です。

米国歯内療法学会(AAE)でも、非外科的な根管治療における歯の隔離にラバーダムを使用することを重要な標準として位置づけています。

根管治療では、

感染を取り除くこと

だけでなく、

治療中に新たな感染を起こしにくい環境を作ること

も重要だからです。

びわ湖大津デンタルクリニックでも、根管治療をできるだけ清潔かつ安全な環境で行うため、ラバーダム防湿を積極的に使用しています。

ラバーダムについてさらに詳しく知りたい方は、
「根管治療の成功率を高めるために|ラバーダム防湿とは?」
もご覧ください。

根管治療が何回も必要になる理由にも関係しています

根管治療は、

「根の中を削ったら終わり」

という治療ではありません。

根管内の感染を減らし、清掃・洗浄・消毒を行いながら状態を確認して治療を進めます。

そのため、歯の状態によっては複数回の通院が必要になることがあります。

根管治療に何回も通う理由については、
「#052 根っこの治療って、なんで何回も通わなあかんの?」
で詳しく解説しています。

根管治療の痛みが心配な方へ

「ラバーダムも気になるけど、そもそも根管治療が痛そうで怖い」

という方もいると思います。

根管治療では、必要に応じて局所麻酔を使用して痛みをできるだけ抑えながら治療します。

また、治療後には一時的に噛んだときの痛みや違和感が出る場合があります。

詳しくは、
「#053 根っこの治療中って、痛くなることあるん?」
をご覧ください。

ラバーダムは、歯を守るためだけでなく患者さんを守るためのものです

根管治療のときに突然ゴムのシートを付けられると、

「これ、ほんまに必要なん?」

と思うかもしれません。

しかし、ラバーダムには、

唾液や細菌が根管内へ入るのを防ぐ
小さな器具の誤飲・誤嚥を防ぐ
洗浄液がお口の中へ流れるのを防ぐ
治療する場所を見やすくする

といった大切な役割があります。

つまりラバーダムは、

根管治療を清潔な環境で行うため
と
患者さんを安全に治療するため

の両方に役立つものです。

少し大げさに見えるかもしれませんが、根管治療ではとても重要な道具です。

「このゴム何なん?」
と思ったときは、

「根っこの中をできるだけ清潔に保ち、安全に治療するためのもの」

と覚えておいてください。

お友達にご紹介お願いいたします。
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次