銀歯の下に大きな虫歯!骨高4.6mmでもサイナスリフトとインプラントを同時に行った症例

「昔治療した銀歯が、ずっと調子悪い……」

そんな経験はありませんか?

銀歯が入っている歯は、外から見ただけでは内部の状態が分からず、知らないうちに虫歯が進行していることがあります。

今回ご紹介するのは、長年調子の悪かった右上の奥歯を診察したところ、銀歯の下に大きな虫歯が見つかり、残念ながら抜歯が必要になった60代の患者様の症例です。

抜歯から約3か月後にインプラント治療を計画しましたが、CT検査で確認した骨の高さは、わずか4.6mmでした。

そこで当院では、ラテラルウィンドウ法によるサイナスリフトとインプラント埋入を同時に実施しました。

また、手術中の不安や緊張に配慮し、静脈内鎮静法も併用しています。

2026年4月13日に一次手術を行い、約6か月後の10月8日には二次手術まで終了しました。

現在は最終的な人工歯(上部構造)の装着に向けて治療を進めている段階です。

今回は、銀歯の下の虫歯から抜歯、骨造成を伴うインプラント手術、二次手術までの治療経過をご紹介します。

目次

長年調子の悪かった右上の銀歯。その原因は?

今回の患者様は60代の方で、以前から右上の奥歯(上顎右側第一大臼歯・右上6番)の調子が悪いとのことで当院へお越しになりました。

問題の歯には、以前の歯科治療で装着された銀歯が入っていました。

銀歯が入っている歯は、外から見ると大きな問題がなさそうでも、その内部で虫歯が進行している場合があります。

特に、銀歯と歯の境目などから細菌が侵入し、内部で虫歯が再発することがあります。

このような虫歯を「二次う蝕(二次カリエス)」と呼びます。

今回も、まず銀歯を取り外して内部の状態を確認することにしました。

銀歯を外すと、内部には大きな虫歯が……

実際に銀歯を取り外してみると、その下には大きな虫歯が広がっていました。

歯を残せるかどうか慎重に確認しましたが、虫歯によって健康な歯質が大きく失われており、修復して保存することが難しい状態でした。

患者様に歯の状態をご説明し、残念ながら抜歯することになりました。

もちろん、銀歯の下に虫歯があるからといって、すべての歯が抜歯になるわけではありません。

残っている健康な歯質の量や位置、歯根の状態などを総合的に判断し、可能な限り歯を残す方法を検討することが大切です。

抜歯から約3か月後、インプラント治療を計画

抜歯後は、歯茎や骨の治癒を待ちながら経過を観察しました。

そして抜歯から約3か月後、失った右上6番を補うためにインプラント治療を計画しました。

インプラント治療は、顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療方法です。

ブリッジとは異なり、原則として両隣の健康な歯を大きく削る必要がなく、取り外し式の部分入れ歯とも異なる特徴があります。

ただし、インプラントを埋入するためには、十分な骨の量と適切な骨の状態が必要です。

今回の患者様には、もう一つ大きな課題がありました。

術前CTで確認した骨の高さは、わずか4.6mm

ンプラント治療前に歯科用CTを撮影し、右上6番の骨の状態を詳しく確認しました。

すると、上顎洞底までの残存骨高は、わずか4.6mmでした。

上顎の奥歯の上方には「上顎洞(じょうがくどう)」という空洞があります。

この上顎洞と顎の骨の位置関係によっては、インプラントを埋入するための骨の高さが不足することがあります。

今回も、予定していたインプラントをそのまま埋入するには骨の高さが足りず、骨造成を併用した治療計画を立てる必要がありました。

骨が少ない場合に行う「サイナスリフト」とは?

サイナスリフトは、上顎の奥歯の骨が不足している場合に行う骨造成術の一つです。

上顎洞の粘膜を慎重に持ち上げ、その下に骨補填材などを填入することで、新たな骨が形成されるためのスペースを確保します。

骨の状態によっては、骨造成を先に行い、一定期間経過してからインプラントを埋入する方法を選択することもあります。

一方、インプラントの初期固定などが確保できると判断された場合には、サイナスリフトとインプラント埋入を同時に行えることがあります。

CTシミュレーションでインプラントの埋入位置を確認

今回の症例では、事前にCTデータを用いたインプラント埋入シミュレーションを行いました。

シミュレーションでは、ストローマン社のBone Level Tapered(BLT)インプラント、直径4.8mm・長さ12mmを計画しました。

インプラントの埋入方向や深さ、周囲の骨の状態、上顎洞との位置関係などを事前に確認しています。

術前の残存骨高は4.6mmであり、計画した長さ12mmのインプラントを埋入するためには、上顎洞底への対応が必要でした。

そこで今回は、ラテラルウィンドウ法によるサイナスリフトを併用する方針としました。

骨高4.6mmに対し、ラテラルウィンドウ法によるサイナスリフトを実施

2026年4月13日、右上6番に対してサイナスリフトとインプラント埋入手術を行いました。

今回採用したのは、**ラテラルウィンドウ法(側方アプローチ)**という術式です。

ラテラルウィンドウ法とは?

ラテラルウィンドウ法とは、上顎の骨の側面に小さな開窓部を設け、そこから上顎洞の粘膜(シュナイダー膜)を慎重に挙上する骨造成術です。

挙上した粘膜の下に骨補填材などを填入し、新たな骨が形成されるためのスペースを確保します。

今回の症例では、サイナスリフトとインプラント埋入を同じ日に行いました。

この方法は、骨造成とインプラント埋入を別々に行う場合と比較して、外科手術の回数を減らし、治療期間を短縮できる可能性があります。

ただし、同時埋入が可能かどうかは、骨の高さだけで決まるわけではありません。

骨の幅や質、上顎洞の状態、インプラントの初期固定などを総合的に判断する必要があります。

静脈内鎮静法を併用し、手術中の不安や緊張にも配慮

今回のインプラント手術では、静脈内鎮静法も併用しました。

静脈内鎮静法は、点滴から鎮静薬を投与することで、不安や緊張を和らげながら歯科治療を受けていただく方法です。

一般的な全身麻酔とは異なり、鎮静の深さによっては呼びかけに反応できる状態を保ちながら治療を行います。

痛みの管理には局所麻酔も併用します。

特に今回のように骨造成を伴うインプラント手術では、処置に不安を感じる方もいらっしゃいます。

当院では、全身状態や既往歴などを確認したうえで、静脈内鎮静法を選択肢の一つとしてご案内しています。

「インプラント手術が怖い」

「手術中の痛みや不安が心配」

「歯科治療に強い恐怖心がある」

そのような方は、当院の静脈内鎮静法についてのご案内もぜひご覧ください。

術後パノラマ写真でインプラントの埋入状態を確認

手術後に撮影したパノラマX線写真では、右上6番にインプラントが埋入されていることを確認できます。

術前は残存骨高4.6mmという条件でしたが、ラテラルウィンドウ法によるサイナスリフトを併用することで、インプラントを同日に埋入することができました。

ただし、インプラント埋入直後の画像だけで治療の長期的な成功が確認できるわけではありません。

骨との結合状態や周囲組織の治癒など、その後も経過を確認していくことが大切です。

約6か月後の2026年10月8日、インプラント二次手術を実施

2026年4月13日の一次手術後は、骨や周囲組織の治癒期間を設けました。

そして、2026年10月8日にインプラントの二次手術を行いました。

一次手術から二次手術までの期間は、約6か月です。

インプラント二次手術とは?

インプラントの二次手術とは、歯肉の下にあるインプラントの上部を露出させ、最終的な人工歯(上部構造)を装着するための準備を行う処置です。

インプラントと骨の結合状態や周囲組織の状態を確認しながら、次の補綴治療へと進めていきます。

今回の患者様も二次手術まで終了し、現在は最終的な人工歯を装着するための治療を進めている段階です。

現時点では、インプラント治療のすべてが完了したわけではありません。

今後、上部構造の装着が完了した際には、その治療経過についても改めてご紹介したいと思います。

銀歯の下の虫歯は、気づかないうちに進行していることがあります

今回の症例でもう一つお伝えしたいのは、以前治療した歯であっても、再び虫歯になる可能性があるということです。

銀歯が外れていなくても、その下で虫歯が進行していることがあります。

特に、次のような症状がある場合には注意が必要です。

  • 昔治療した銀歯が何となく調子悪い
  • 噛んだときに痛みや違和感がある
  • 冷たいものや温かいものがしみる
  • 銀歯と歯の境目に食べ物が詰まりやすい
  • 歯茎が腫れたり、違和感が続いたりする

こうした症状がある場合、必ずしも虫歯が原因とは限りませんが、歯科医院で確認することをおすすめします。

すべての銀歯を外して確認する必要があるわけではありません。

しかし、症状や診査結果によっては、内部の状態を詳しく調べることが必要になる場合もあります。

早期に異常を発見することで、大切な歯を残せる可能性が高まる場合があります。

骨が少ないからといって、インプラントをあきらめる必要はありません

今回の患者様は、銀歯の下に大きな虫歯が見つかったことをきっかけに抜歯となり、その後インプラント治療を受けられました。

術前の残存骨高はわずか4.6mmでしたが、ラテラルウィンドウ法によるサイナスリフトを併用することで、インプラントを同日に埋入することができました。

さらに約6か月の治癒期間を経て、二次手術まで進んでいます。

ただし、骨造成を行えば必ずインプラント治療ができるわけではありません。

骨の幅や質、上顎洞の状態、全身状態などによっては、別の治療方法をご提案する場合もあります。

重要なのは、CT検査などによる精密な診査・診断を行い、一人ひとりに適した治療方法を検討することです。

「骨が少ないと言われた」

「他院でインプラントは難しいと言われた」

「手術が怖くて、なかなか踏み出せない」

そんなお悩みをお持ちの方も、まずは一度ご相談ください。

びわ湖大津デンタルクリニックでは、大津市をはじめ滋賀県内の患者様から、インプラント治療についてのご相談を承っています。

治療方法や骨造成について詳しく知りたい方は、当院のインプラント治療についてもぜひご覧ください。

症例概要

項目内容
患者様60代
治療部位右上6番(上顎右側第一大臼歯)
主訴以前から銀歯の入った奥歯の調子が悪い
歯の状態銀歯の下に大きな虫歯があり保存困難
抜歯から一次手術まで約3か月
術前残存骨高4.6mm
一次手術日2026年4月13日
骨造成術サイナスリフト(ラテラルウィンドウ法)
インプラント埋入骨造成と同時に実施
インプラント計画ストローマン BLT Roxolid SLActive・直径4.8mm × 長さ12mm
麻酔局所麻酔・静脈内鎮静法
二次手術日2026年10月8日
一次手術から二次手術まで約6か月
現在の治療状況二次手術終了・上部構造装着前
治療期間・回数治療継続中(総期間・総回数は確認後に追記)
治療費用確認後に追記
主なリスク・副作用術後の痛み、腫れ、出血、感染、上顎洞粘膜の穿孔、骨造成不良、インプラントと骨の結合不良、インプラント周囲炎など

※インプラントの寸法は術前シミュレーションでの計画値です。

※治療の適応や経過には個人差があります。サイナスリフトを行えば、必ずインプラント治療が可能になるわけではありません。

※本症例は2026年10月12日時点で治療継続中です。最終的な人工歯(上部構造)の装着は完了していません。

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