#071 奥歯ないけど、前歯あるし放っといてええの?
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【4コマ解説】
奥歯ないけど、前歯あるし放っといてええの?
「奥歯が何本かないけど、前歯は残ってる」
「見た目ではそんなに分からへんし、普通にご飯も食べられてる」
「痛くもないし、このままでもええんちゃう?」
奥歯を失っていても、前歯が残っていると、見た目にはそれほど困らないことがあります。
柔らかい食べ物なら前歯や残っている歯だけでも食べられるため、
「まだ大丈夫」
と感じる方も少なくありません。
しかし、
見た目に困っていないことと、奥歯でしっかり噛めていることは別です。
奥歯には、食べ物をすりつぶし、噛む力を受け止める大切な役割があります。
特に左右の奥歯を複数失っている場合、そのままにしていると、残っている歯への負担や噛み合わせの変化につながることがあります。
前歯と奥歯では役割が違います
歯は、場所によって得意な仕事が違います。
前歯は主に、
食べ物を噛み切る
役割をしています。
一方、奥歯は、
食べ物を細かくすりつぶす
強い噛む力を受け止める
という役割を担っています。
そのため、前歯が残っているからといって、奥歯がなくても同じように噛めるわけではありません。
特に左右の奥歯を複数失うと、咀嚼機能が低下することがあります。
「食べられてるから大丈夫」とは限りません
奥歯を失っても、翌日から突然何も食べられなくなるわけではありません。
残っている歯を使えば、ある程度は食事できます。
すると、
「別に困ってないし、治療せんでもええかな」
と思ってしまいがちです。
しかし実際には、
柔らかいものを選ぶようになった
片側ばかりで噛んでいる
硬いものを避けるようになった
以前より食事に時間がかかる
など、無意識に食べ方を変えていることもあります。
「食事ができるか」だけではなく、
どこで、どのように噛んでいるか
まで確認することが大切です。
奥歯がないと、残っている歯に負担が集中することがあります
歯がそろっていると、噛んだときの力を複数の歯で受け止めることができます。
しかし、奥歯を何本も失うと、それまで奥歯が負担していた力を、残っている歯で受けることになります。
たとえば、
残っている奥歯
小臼歯
前歯
などに負担が集中することがあります。
特に前歯は、本来、奥歯のような強い咀嚼力を繰り返し受け止めることを主な役割としている歯ではありません。
そのため、奥歯がなくなって前歯ばかりを使っている場合には、お口全体の噛み合わせを確認することが大切です。
前歯に負担がかかるとどうなるん?
前歯に過度な力が長期間かかると、
歯がすり減る
歯が揺れる
被せ物が壊れる
歯が移動する
などの問題につながる可能性があります。
もちろん、
奥歯がない人は必ず前歯が悪くなる
という意味ではありません。
失っている歯の本数や場所、残っている歯、歯周病の状態、噛み合わせなどによって影響は異なります。
だからこそ、
「前歯が残っているから大丈夫」と自己判断するのではなく、お口全体で噛めているかを確認すること
が重要です。
奥歯がないと、隣の歯が傾くこともあります
歯を失った部分を長期間そのままにしていると、欠損したスペースに向かって隣の歯が少しずつ傾いたり移動したりすることがあります。
すべてのケースで大きく動くわけではありませんが、歯の位置が変化すると、
歯と歯の間に食べ物が詰まる
磨きにくくなる
噛み合わせが変わる
といった問題につながることがあります。
歯を失ってから時間がたつほど、あとから治療するときの条件が複雑になる場合もあります。
噛み合う相手の歯がないと、歯が伸びてくることもあります
上下の歯は、それぞれ噛み合う相手があります。
奥歯を失って、その歯と噛み合っていた相手の歯が何も噛まなくなると、位置が変化する場合があります。
これを挺出(ていしゅつ)や過萌出などと呼びます。
大きく移動するかどうかには個人差がありますが、位置が変わると、
あとから入れ歯やインプラントを入れるスペースが不足する
噛み合わせを調整する必要が出る
ことがあります。
そのため、今すぐ症状がなくても、欠損部分だけでなく噛み合う反対側の歯も確認します。
奥歯が1本なくなったら、絶対にすぐ入れなあかんの?
これは、すべてのケースで同じではありません。
失った歯が1本だけなのか、左右の奥歯が複数ないのかでも状況は大きく違います。
また、
どの歯を失っているか
噛み合う歯があるか
残っている歯で十分に噛めているか
歯の移動が起きていないか
歯周病がないか
患者さん自身が噛みにくさを感じているか
なども判断材料になります。
特に最後方の奥歯1本だけを失ったケースなどでは、状態によってはすぐに補わず経過を確認する選択肢が考えられることもあります。
一方で、今回の4コマのように左右の奥歯を複数失っている場合は、噛む場所そのものが大きく減っているため、失った部分をどのように補うか検討する意味が大きくなります。
つまり、
「歯が1本ない=必ず同じ治療」ではありません。
お口全体を見て判断します。
奥歯がない場合、どんな治療方法があるん?
失った歯を補う代表的な方法には、
部分入れ歯
ブリッジ
インプラント
などがあります。
どの方法が適しているかは、
失った歯の本数
欠損している場所
残っている歯の状態
顎の骨の状態
噛み合わせ
患者さんの希望
費用
取り外し式でも問題ないか
などによって変わります。
すべての患者さんに同じ治療方法が適しているわけではありません。
複数の奥歯がない場合は「部分入れ歯」という方法があります
部分入れ歯は、一部の歯を失った場合に、その部分を取り外し式の装置で補う治療方法です。
特に複数の奥歯を失っているケースでは、一つの入れ歯で複数の歯をまとめて補えることがあります。
残っている歯にバネなどをかけて入れ歯を安定させ、失った部分には人工の歯を配置します。
部分入れ歯について詳しく知りたい方は、当院の入れ歯治療ページもご覧ください。
保険でも部分入れ歯は作れます
「奥歯が何本もないと、高額な治療しか無理なん?」
と思われる方もいるかもしれません。
しかし、条件に応じて保険診療で部分入れ歯を作ることができます。
保険の部分入れ歯では、一般的に金属のバネ(クラスプ)やレジンと呼ばれる樹脂などを使用します。
自費の入れ歯とは、
見た目
使用できる材料
設計の自由度
などに違いがありますが、
「まず奥歯を作って噛めるようにしたい」
という場合の治療方法の一つになります。
実際に「前歯はあるけど奥歯がない」患者さんを部分入れ歯で治療しました
当院には、今回の#071と非常によく似た実際の症例があります。
患者さんは前歯がしっかり残っていたため、正面から見ると大きく歯を失っているようには見えませんでした。
しかし、実際には下顎左右の奥歯が複数本欠損しており、食事の際に噛みにくさを感じておられました。
必要な歯科治療を行ったうえで、最終的に保険診療の部分入れ歯で左右の奥歯を補い、奥歯で噛める状態を回復した症例です。
写真で治療前後を確認できますので、
「奥歯がないけど前歯はある…そのままで大丈夫?保険の部分入れ歯で噛めるようにした症例」
もぜひご覧ください。

入れ歯を入れたら、自分の歯と同じように何でも噛める?
入れ歯を入れれば、天然の歯とまったく同じ感覚になるわけではありません。
特に使い始めは、
異物感
圧迫感
噛んだときの痛み
発音のしにくさ
などを感じることがあります。
実際に食事をしながら使っていただき、痛いところや噛みにくいところを調整して、お口に合わせていきます。
つまり、
入れ歯は完成したら一度入れて終わり
ではありません。
使用しながら調整していくことも大切です。
インプラントという方法もあります
奥歯を失った場合には、インプラントも選択肢の一つです。
インプラントは、顎の骨に人工歯根を埋入し、その上に人工の歯を作る治療です。
取り外す必要がなく、固定式で噛めるという特徴があります。
一方、
外科手術が必要
基本的に自由診療
顎の骨や全身状態によって適応を検討する必要がある
など、入れ歯とは異なる特徴があります。
インプラントについて詳しく知りたい方は、
をご覧ください。

「入れ歯とインプラント、どっちがええの?」
どちらか一方が、すべての患者さんにとって優れているというわけではありません。
部分入れ歯には、
取り外して清掃できる
複数の歯をまとめて補いやすい
保険診療を選択できる場合がある
といった特徴があります。
一方、インプラントには、
固定式
周囲の歯にバネをかけない
天然歯に近い感覚で噛みやすい
といった特徴があります。
治療方法は、残っている歯や骨の状態、希望、費用などを確認しながら決めます。
ブリッジという方法もあります
欠損している場所や本数によっては、ブリッジで補える場合もあります。
ブリッジは、失った歯の両側などにある歯を支えとして、つながった人工歯を固定する方法です。
取り外す必要がないというメリットがありますが、支えとなる歯を削る必要がある場合があります。
また、奥歯を複数本失っていて、後方に支えとなる歯がないケースでは、通常のブリッジでは対応できないことがあります。
そのため、
入れ歯
ブリッジ
インプラント
のどれが適しているかは、欠損の状態によって判断します。
奥歯を失った原因を確認することも大切です
失った部分を補うことだけでなく、
なぜその奥歯を失ったのか
を考えることも重要です。
原因が、
虫歯
歯周病
歯の破折
噛み合わせによる強い負担
などであれば、同じ問題が残っている歯にも起こる可能性があります。
せっかく入れ歯やインプラントで奥歯を作っても、残っている歯を次々に失ってしまっては意味がありません。
そのため、欠損治療と同時に、今残っている歯を守ることが重要です。
「もっと歯がなくなってから入れ歯」はおすすめできません
「まだ前歯あるから、もっと歯がなくなってから入れ歯にしよう」
と思われる方もいます。
しかし、部分入れ歯は、
すべての歯を失った人だけが使うものではありません。
一部の歯を失った段階で、その欠損を補うために使用するのが部分入れ歯です。
むしろ、今残っている歯をどのように守りながら使っていくかを考えることが重要です。
歯がボロボロでも、噛める状態を目指せる場合があります
奥歯を何本も失っている方の中には、
「今さら歯医者に行っても遅い」
「こんな状態では治療できへんやろ」
と思っている方もいます。
しかし、残っている歯や歯ぐき、骨の状態を確認し、
治せる歯を治す
残せない歯を適切に処置する
失った歯を入れ歯などで補う
ことで、噛める状態を目指せる場合があります。
歯がたくさん悪くなっていても治療できるのか不安な方は、
「#044 歯がボロボロでも…ちゃんと噛めるようになるん?」
もご覧ください。
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奥歯がなくても「今困ってない」で終わらせないことが大切です
奥歯がなくても、前歯が残っていれば見た目にはほとんど分からないことがあります。
また、残っている歯を使えば、ある程度食事もできます。
そのため、
「まだ大丈夫」
「痛くないし放っとこう」
となりやすいところです。
しかし、特に複数の奥歯を失っている場合には、
噛む場所が減る
残っている歯に負担が集中する
歯の位置や噛み合わせが変化する
ことがあります。
一方で、奥歯1本の欠損などでは、状況によって経過観察という選択肢が考えられる場合もあります。
大切なのは、
「歯がないから必ず入れ歯」でも、「今困っていないから放置」でもありません。
どの歯が何本なくなっているのか、今どこで噛んでいるのか、残っている歯にどれくらい負担がかかっているのかを確認したうえで、治療が必要かどうかを判断します。
「奥歯ないけど、前歯あるし大丈夫かな?」
という方は、一度お口全体の噛み合わせを確認してみましょう。
今ある歯をできるだけ長く使うために、失った奥歯をどうするか考えることが大切です。






