訪問歯科診療は「歯の治療」だけではありません
訪問歯科診療は通院が困難な方でも歯科のケアを受けられるという制度です。「では、歯が痛くなったときは頼もうかしら」と思われるかもしれませんが、実は訪問歯科診療で行うのは「歯の治療」だけではないのです。訪問歯科診療では治療はもちろんのこと、患者様のお口の管理全般についてお役に立つことができるのです。
「訪問歯科診療」と「往診」の違い
訪問歯科診療を往診だと思っている方がいらっしゃいます。でも、この2つは違うものです。往診は治療が必要になったときだけに訪問する、一時的な対応です。外来での診療の延長にあるイメージです。
一方で訪問歯科診療は長期的な計画をもとに患者様のもとに訪問し、診察から治療はもちろん、その後のケアに至るまで継続して行うものです。
訪問歯科診療と言われて皆さんがイメージする歯の治療や入れ歯の調整といったものは「診療」ですが、それに加えて患者様のお口の衛生状態を管理する「口腔ケア」、患者様のお口の機能を管理する「口腔リハビリ」といったものが含まれるのです。
治療が終わったら終わりではない?
訪問歯科診療では、通院が困難な方からご依頼をいただいたら、まずは検診に伺います。患者様のお口のなかをチェックさせていただくことからスタートするのです。そして、患者様やご家族、スタッフの皆様にお口の状態を説明し、治療計画を立てます。緊急での治療が必要なときをのぞき、このような流れになります。治療計画について納得いただけたら、いよいよ治療がスタートします。歯の治療はもちろん、入れ歯の調整や新製なども訪問歯科診療で行うことができます。
そして治療が無事に終わっても、訪問歯科診療自体は続きがあります。治療後も定期的な検診や口腔ケア。口腔リハビリをお勧めします。
口腔ケアや口腔リハビリ
治療が終了後も定期的にお口の状態をチェックするのも訪問歯科診療です。そして、継続的な口腔管理を希望される場合は口腔ケアや口腔リハビリを行います。
治療や検診では歯科医師が患者様のもとへ訪問しますが、口腔ケアや口腔リハビリは歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が訪問し、口腔ケアマネジメント計画書に基づいたケアやリハビリを担当します。
口腔ケアというと、「私たちが普段行っている歯みがきとどう違うんですか?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。訪問歯科診療で歯科衛生士が行う口腔ケアは「専門的口腔ケア」と呼ばれ、普段の歯みがきでは取ることのできない歯石やバイオフィルムを除去したり、普段の歯みがきについてのアドバイスを行ったりします。
また、口腔リハビリでは摂食嚥下などのお口の機能を維持、向上させるためのさまざまな訓練やマッサージを行います。高齢になっても「おいしくお口で食べられる」状態をキープできるようになるはずです。
継続的にお口のケアを行うことで生活の質が向上!
このように、訪問歯科診療は治療だけではなく、その後の検診やケア・リハビリがセットになっているものと考えていただきたいと思います。患者様のお口のなかを定期的・継続的に管理することで、健康なお口を維持できるようになり、ひいては全身の健康にもつながります。そして、日々の生活の質も向上していくと思います。