作れていますか?安全に食べられる食事の姿勢
要介護状態のご家族などの口腔ケア介助を行っている方は、ケアのときの姿勢が重要だということ、ご存知だと思います。
ケア中に誤嚥してしまうことのないように、上体を安定させて、顎が上を向いてしまわないような姿勢を作ることが重要ですよね。
でも、要介護のご家族の方の介助は、口腔ケアだけではありません。食事の介助をされている方もいらっしゃるでしょう。
今回は、食事介助のときの姿勢について説明しましょう。
食事のときの姿勢は重要?
口腔ケア介助のときの姿勢が重要であるように、食事介助のときの姿勢も重要です。どちらのケースも、正しい姿勢を作れずに介助していると、誤嚥するリスクがあるからです。さらに食事介助では、誤嚥だけでなく、食べ物をのどに詰まらせてしまう窒息のリスクも高まります。
また、間違った姿勢で食事をしていると、食事中に疲れてしまったり、食べ物を正しく認識できなかったりして、食事をしっかりととれなくなってしまいます。そのような状態が継続すると、低栄養になってしまうのです。
食事のときの基本姿勢
食事介助を行うときには、最初に介助を受ける方の姿勢をチェックしましょう。
食事をする方の座位の基本姿勢は、次のようになります。
- 背筋を伸ばして顎をひき、やや前屈み
- 机と身体の間は、拳1つ分のスペースを空ける
- テーブルの高さは、腕を置いたときに肘が90度に曲がるくらい
- 椅子には深く腰掛ける
- 椅子の高さは、膝が90度に曲がるように
- 足の裏を地面に接地させる
椅子に移動するのが難しい場合などは、介護ベッドで上体を起こして食事するケースもあります。食事をする方のベッド上での座位の基本姿勢は、次のようになります。
- 顎を軽くひく
- テーブルの高さは、腕を置いたときに肘が90度に曲がるくらい
- 腰をベッドの折れ目に合わせる
- 膝を軽く曲げる
- 足元にクッションを当てて、足の裏を接地させる
食事介助の前に忘れずに行うこと
姿勢作りの前に、忘れずに行っていただきたいことがあります。
食事の前にトイレを済ませておきましょう。
食事中にトイレに行きたくなってしまうと、食事に集中できなくなってしまいます。
覚醒状態や体調を確認しましょう。
しっかりと覚醒せずに食事を行うと、誤嚥や窒息のリスクが高くなります。また、体温や呼吸状態、食欲の有無も確認しておきます。
口腔内の状態を確認しましょう。
口腔内が乾燥していたり、汚れていたりすると、スムーズに嚥下できなかったり、食事を味わえなかったりします。口腔ケアや嚥下体操で口腔内を刺激し、食べる準備をしましょう。
食事を拒否される場合は、心理的精神的にサポートをしましょう。
「食べたくない」という訴えがあるときは、その原因を探ります。
声かけを行いましょう。
いよいよ食事スタートです。「今からご飯ですよ」としっかりと声をかけ、食事を認識させてから食べ物を口に運びましょう。