入れ歯の着脱、正しくできていますか?

高齢のご家族などの口腔ケア介助をする際は、入れ歯を外してケアをしなくてはいけません。しかし、ケアをする方が入れ歯をしたことのない人だったりすると、入れ歯の着脱方法がわからずに戸惑うことがあるかもしれません。
また、入れ歯を使っているご本人も正しい着脱方法を知らずにいる、というケースもあります。
今回は、入れ歯の正しい着脱方法を説明しましょう。

目次

総入れ歯の着脱方法

入れ歯には、上下どちらかの顎に歯が1本も残っていない場合に使われる「総入れ歯」と、歯を失った部分のスペースにだけ使われる「部分入れ歯」があります。まずは、総入れ歯の着脱方法から説明しましょう。
口腔ケア介助を行うときは、相手の口にはすでに入れ歯が装着されている状態だと思います。ケアをするには、この入れ歯を外さなくてはなりません。
総入れ歯は、一般的には下の入れ歯から外します。ただし、上の入れ歯の方が不安定で外れやすいようなら、上の入れ歯を先に外しても構いません。
下の入れ歯を外すには、入れ歯の前歯の部分をつまみ、奥歯を上に浮かすように軽く力をかけます。外れた入れ歯は、そのままでは口の外に出せませんから、少し回転させて口の外に取り出します。
上の入れ歯を外すには、入れ歯の前歯の部分をつまみ、奥歯を下に浮かすように軽く力をかけます。外れた入れ歯は、下の入れ歯同様に少し回転させて、口の外に取り出します。外した入れ歯は、流水で洗浄しておきましょう。
そして口腔ケアが終了したら、きれいになった口に入れ歯を装着します。
装着時は、一般的に上の入れ歯から行うとされていますが、個人差もあるのでご本人の口の特徴に合わせた順番で結構です。
上の入れ歯は前歯をつまんで、少し回転させて口のなかに入れます。上顎に密着する入れ歯の義歯床の真ん中の部分を指で押さえるようにして、ぴったりと収まるまではめ込みます。
下の入れ歯も前歯をつまんで、少し回転させて口のなかに入れます。両手の人差し指を奥歯に当てて、安定するまで静かにはめ込みます。

部分入れ歯の着脱方法

部分入れ歯は、総入れ歯に比べると小さいため扱いやすいように思いますが、注意して行わないと思わぬ事故につながることもあります。
まずは、部分入れ歯の外し方です。部分入れ歯には、クラスプと呼ばれる入れ歯を固定するための小さな金具がついています。外すときには、この金具に指先をかけて、外す方向(上の部分入れ歯なら下方向に、下の部分入れ歯なら上方向)に力をかけると外れます。外れた部分入れ歯は、口のなかに落としてしまわないように、注意深く取り出しましょう。口のなかに落として、万が一誤飲してしまうと大変危険です。
口腔ケア中に部分入れ歯の洗浄をすませておき、ケア終了後のきれいな口に部分入れ歯を装着します。
部分入れ歯は小さなものが多いので、入れ歯や金具の向きを間違えないようにしましょう。金具を指でつまんで口のなかに入れたら、指でゆっくりと安定するところまで人工歯をはめ込みます。
入れ歯を使っているご本人でも、指で入れ歯をはめ込まずに、歯でカチカチと咬み合わせるだけで済ませていたりするように、間違った方法で装着している方がいらっしゃいます。そんなときは、正しい着脱方法を説明してあげてください。

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