舌の清掃はなぜ必要?

口腔ケアといえば、歯ブラシを使った歯みがきを連想される方が多いのではないでしょうか?でも、口腔ケアは「歯」のお手入れだけではなく「口」全体のお手入れです。最近は、口臭ケアとの兼ね合いで「舌」のお手入れが一般の方にも注目されるようになっています。

今回は、舌ブラシを使った舌の清掃について説明しましょう。

目次

口臭と舌苔の関係

最近では、口腔ケアへの意識の高まりもあって、歯ブラシでの歯みがきはもちろん、デンタルフロスや歯間ブラシで丁寧にお手入れをされている方が増えてきているようです。口腔ケア介助の場面だけでなく、自分で口腔ケアをされる方々も、歯みがき後にフロスを使うのが一般的になりつつあるようです。

歯のお手入れへの意識は確実に高まっていますが、見落としてほしくないのが「舌」のお手入れです。

舌に苔のように付着した汚れを「舌苔」と呼びます。口のなかの粘膜から剥がれ落ちた細胞などが舌の表面に付着して、そこに雑菌が繁殖した状態です。まるで苔が生えたように見えるので、こう呼ばれています。

この舌苔が、口臭を引き起こすことがあるのです。

舌清掃が注目されるようになったのは、舌苔による口臭を予防しようという背景があります。

長く続いたマスク生活の影響もありそうです。多くの人が口呼吸になってしまい、その結果として、舌苔および口臭に悩む人が増えているようです。

舌清掃と誤嚥性肺炎の関係

舌の汚れが関係するのは、口臭だけではありません。高齢者の方にとっても、舌苔は無視できない汚れです。

高齢になってくると、唾液の分泌量が減少してしまうために、口のなかで雑菌が繁殖しやすくなります。そのために、舌苔も厚くなってしまいがちです。

高齢者にとって舌苔は、口臭はもちろん、誤嚥性肺炎の要因にもなる要注意な汚れです。舌苔に付着している細菌が誤嚥によって肺に侵入してしまい、誤嚥性肺炎を引き起こしてしまうことがあるのです。

舌の汚れは専用の舌ブラシで除去

口臭や誤嚥性肺炎を予防するためにも、舌の清掃は重要です。舌の清掃では、歯ブラシではなく専用の舌ブラシを使うようにします。歯ブラシなどで舌苔をゴシゴシとブラッシングすると、舌の表面の細胞を傷つけてしまうからです。

舌の表面には、味蕾という食べ物の味を感じ取る細胞があり、この細胞が傷ついてしまうと味を感じにくくなるのです。

舌ブラシには、ヘラのような形をしたものからブラシがついたものまで、さまざまなタイプがあります。初心者は、衛生的に管理しやすいシリコンタイプがよいでしょう。

舌ブラシでの清掃方法は簡単です。

舌ブラシを舌の表面に当て、奥から手前に向かって軽い力で1、2回すーっと動かします。舌の真ん中、右側、左側といった要領で行いましょう。

一度の舌清掃で、舌苔をすべて除去する必要はありません。舌苔が薄らと付着している分には、大きな問題にはなりません。

1日に1回程度のペースで、歯みがきの後に舌清掃を行ってみてください。

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