拒否のある方への口腔ケア

高齢になってくると、生活のさまざまな場面で介助や介護が必要になってくるケースもあります。なかには、歯みがきなどの口腔ケアも自分で行うのが難しいため、ご家族が歯みがき介助をしているという方もいらっしゃるでしょう。しかし、ご本人が認知症などの場合は、拒否(お口を開けてくれないなど)の症状でなかなか歯みがき介助ができないかもしれません。

今回は、歯科医院が行っている拒否がある方への口腔ケアのコツを紹介しましょう。

目次

なぜ拒否されるの?

一生懸命、歯みがきの介助をしようとしているのに拒否をされてしまうと、ご家族同士とはいえ、ガックリきてしまうこともあると思います。しかし、ご本人が認知症などの場合、それは病気の症状ですから、感情的にならずに接してあげることが大切です。

私たちが口腔ケアを行う場合は、まずは患者さんの「拒否」の原因を探ります。

もちろん、認知症のために意思疎通が難しくなって、指示が通らないケースはよくあります。でも、ほかに原因があることもあります。

口の中を見られるのが恥ずかしくて拒否をされるケースもあります。これはご家族に対しては少ないかもしれません。また、顎関節症などの口腔内の不具合で開口できないというケースもあります。

そして、忘れてはいけないのが患者さんが痛みなど不快な思いをしているために拒否をしているというケースもあります。歯科医院としては、このような点にも注意しています。

どうやら口腔内の不具合で拒否が出ているようだと思われる場合は、無理に口腔ケアを行わずに歯科医院にご相談ください。無理して口腔ケアを行おうとすると、症状や拒否行動を悪化させてしまうケースもあります。

そのほかの場合は、いくつかの工夫をすることでスムーズに口腔ケアができるようになるかもしれません。

口腔ケアのときに工夫するポイント

認知症などの原因で拒否がある方への口腔ケアでは、次の3つの工夫が必要です。

  1. 声かけをする
  2. いきなり口に触れない
  3. 力を入れ過ぎない

特に認知症の方は、ご家族が相手であっても「何をされるのか?」と不安な気持ちが強いものです。声をかけてあげることで、ご本人もだいぶ安心されます。「歯みがきしようね。すぐ終わるから」などを優しく声をかけてあげましょう。

2つ目が、いきなり口に触れないというものです。歯みがきをする場合でも、いきなり口のなかに歯ブラシを入れようとしてはいけません。まずは、口の周りを軽くマッサージしてあげましょう。これでご本人の肩の力も抜けてくると思います。次に唇を軽くマッサージします。すると、口も軽く開けてくれるはずです。そうしてはじめて歯ブラシで歯みがきをスタートします。

歯みがきのときには、3つ目の工夫、力を入れ過ぎないことが重要です。ご家族の方は「キレイにしてあげよう」と思うあまり、ついつい歯ブラシを動かす手に力が入ってしまいがちです。でも、それではご本人は痛い思いをするだけです。歯ブラシは軽く動かすだけで汚れを十分に落とせます。

口腔ケアで使えるテクニック

拒否のある方の口腔ケアでは、ちょっとした不注意が事故につながるケースもあります。

歯みがき介助などの口腔ケアのときは、絶対に歯列の内側に指を入れてはいけません。万が一、ケアを受けているご本人が口を閉じてしまうと指を噛まれてしまう危険があるからです。また、歯列の内側に指を入れられると、入れられた側も嘔吐反射を起こしたりと、気持ちのよいものではありません。

歯みがき介助などのケアをしているときは、指は必ず歯列の外側にあるようにします。これなら、万が一口を閉じられたとしても指を噛まれることはありません。

指を歯列の外側に置いていたとしても、歯ブラシは歯列の内側に入ることがあります。そのようなときに、歯ブラシを噛まれてしまうことがあるかもしれません。そんなときは、びっくりしていきなり歯ブラシを抜こうとしてはいけません。こちらが力を入れてしまうと相手も力が入るものです。

まずは歯ブラシを持っている手の力を抜いて待ちましょう。しばらくするとご本人の力の抜けて噛んでいた口を軽く開けてきます。そのときに素早く歯ブラシを取り出しましょう。歯ブラシを最短距離で歯列の外側に出すようにします。

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