高血圧とお口の関係

ご家族や入居者さんの血圧が高い、もしくはご自身も「血圧が高くて」という方いらっしゃると思います。くり返し測定しても最高血圧が140mmHg以上、もしくは最低血圧が90mmHg以上ある場合は高血圧症と診断されます。

高血圧の方のお口の状態には、どのような特徴があるのでしょうか? また、歯の治療時やケア時に気をつけなくてはいけないポイントにはどのようなものがあるのでしょうか? 説明しましょう。

目次

高血圧の患者さんのお口の状態は?

高血圧はその大半が原因不明の「本態性高血圧」と言われるものですが、高血圧は動脈硬化や高脂血症と関連が深く、心臓病や脳卒中の引き金になることもあるため、注意が必要です。こうした病気を予防するためにも、高齢で高血圧の方は血圧を下げる薬(降圧剤)を服用していることが多いと思います。

降圧剤にはいくつかの種類がありますが、一部は歯肉増殖(歯ぐきが腫れること)を起こす場合があります。これは歯周病のリスクにもなります。

このため、高血圧の人は中等度の歯周病が健常な人の1.5倍になると報告されています。降圧剤のなかにはその副作用で口腔乾燥を起こすこともあるため、それが歯周病の進行を早めているとも考えられます。

口腔ケアのときの注意点は?

高血圧のみで口腔ケアが自立できないというケースは稀です。自分で口腔ケアができる場合は、歯ぐき部分もやさしくブラッシングするなどの歯肉のマッサージと口腔乾燥を予防するために口腔湿潤剤を使うことを勧めるとよいでしょう。

訪問歯科を依頼する際には高血圧の薬を服用していることと、その薬の種類を伝えてください。歯肉増殖がある場合は、歯科医師や歯科衛生士に定期的なプラーク除去をしてもらって歯周病予防に努めましょう。

知っておきましょう 歯科治療時の注意点

歯科治療時には、「高血圧であること」を事前に知らせておきましょう。

高血圧は歯科治療時にさまざまな問題を誘発しがちです。ご家族や施設スタッフの方々のご配慮によって、そのリスクを低減できますから高血圧と歯科治療の関係についても知っておきましょう。

歯科治療時の痛みや不安によってカテコールアミンという物質が分泌されます。さらに治療時に用いる局所麻酔薬に含まれるエピネフリンという血管収縮剤が加わって血圧が上昇することがあります。ご家族やスタッフの方が側にいてリラックスさせてあげることで、血圧の急上昇を予防することができるかもしれません。

また、抜歯時など出血を伴う処置の際は、高血圧の人が出血しやすく止血しにくい「易出血性(いしゅっけつせい)」という状態になるため、治療後の止血の方法、なかなか止血しない場合の対応法や相談先などを確認しておきましょう。

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