高齢者の糖尿病と口腔ケア

近年の研究で、糖尿病と歯周病が密接に関連していることがわかってきました。糖尿病を改善することで歯周病も改善する、歯周病を治療することで糖尿病も改善するという関係にあるのです。

このように糖尿病とお口の健康は大きく関連しているのですが、高齢者の糖尿病の場合は、その関連度が一層大きくなるのです。

今回は、高齢者の糖尿病の特徴と口腔ケアの注意点について説明しましょう。

目次

高齢者の糖尿病の特徴

高齢者の糖尿病では、食後の血糖値が高くなる傾向があります。これは加齢によるインスリン分泌の低下や活動量の低下、さらには内臓脂肪の増加などが関連していると考えられます。

また、低血糖時によく見られる発汗、動悸、手のふるえなどの症状が出現しにくいという特徴もあります。このため低血糖状態にあることに気づきにくく、糖分補給などの対応をしないでいるうちに重篤な状態になってしまうケースもあります。

また、こういった低血糖状態が原因での転倒や骨折にも注意が必要です。低血糖がもとの原因で転倒、骨折などによって寝たきり状態になってしまうという事態も起こり得るのです。

高齢者の場合、症状が出現しにくいのは低血糖に限ったことではありません。低血糖状態が原因での心血管疾患、または糖尿病の合併症である動脈硬化による脳梗塞や虚血性心疾患になった場合も、症状が出にくいことで気づかずにいるということもあります。

口腔ケアのポイントは?

糖尿病と歯周病は相互に関係しているため、歯周病治療や歯周病予防が大切であることは高齢者も同様です。

歯みがきなどの口腔ケアはしっかりと行いましょう。歯周病対策としては歯肉のマッサージなども大切になります。

また、糖尿病の患者さんが全身の免疫力が低下しているために不衛生な入れ歯によって口腔カンジダ症になりやすかったり、入れ歯によって生じた傷が治りにくかったりします。入れ歯のお手入れ、口内炎予防にも気を配りましょう。

加えて、高齢になるとドライマウスに悩まされる方が多くなりますが、糖尿病患者の場合はこの確率が大きく上がります。糖尿病によって唾液腺が障害を受けて唾液の分泌量が減少したり、高血糖による脱水でお口やのどが渇いたりするためにドライマウスになりやすく、症状も悪化しやすいのです。

ドライマウスになると口腔内の雑菌が繁殖しやすくなり、傷なども治りにくくなりますが、糖尿病の患者さんの場合は、この傾向も一層はげしくなるため、口腔内の保湿がとても重要になります。口腔ケア時に、仕上げの口腔湿潤剤を塗布することはもちろん、普段からこまめにうがいをして口腔内の細菌を減らすように努めます。そして、うがいのあとには口腔湿潤剤を使用するなどして、口腔内の潤いを保つようにしましょう。

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