「要介護」につながる?口腔機能低下症とは

加齢とともに「お口の衰え」を感じることがあるかもしれません。食事中にむせるようになった、会話しているときに舌が回らないときがあるなどです。

こうしたお口のちょっとした衰えを「オーラルフレイル」といいます。

普段はあまり意識することもないと思いますが、このオーラルフレイルが進行してしまうと、疾患とみなされることがあるのです。

目次

ちょっとした衰えのはずが「疾患」に!?

ちょっとしたお口の衰えである「オーラルフレイル」がさらに進行すると、口腔機能低下症という疾患になってしまいます。簡単に言うと、口腔機能が複合的に低下している病気ということです。

オーラルフレイルまでの段階であれば、地域の保健事業や介護予防事業などの助けを借りながら普段の口腔ケアや口腔リハビリなどで対応できますが、口腔機能低下症になってしまうと「疾患」ですから、歯科での対応が必要になってしまいます。

口腔機能低下症の症状は次のようなものです。

・口の中が汚れている(口腔不潔)

・口の中が乾く(口腔乾燥)

・硬い物が食べにくくなった(咬合力低下)

・滑舌が悪くなったり、食べこぼしをするようになった(舌口唇運動機能低下)

・食べ物が口に残るようになった(低舌圧)

・食べ物が噛みにくくなった(咀嚼機能低下)

・食事のときにむせるようになった(嚥下機能低下)

といったものです。

口腔機能低下症になっている?

口腔機能低下症が疑われる場合、歯科において次の7つの項目について検査を行います。

1.口腔不潔:舌苔の付着の状態を確認し評価します。

2.口腔乾燥:口腔内の水分量を測定し乾燥状態を評価します。

3.咬合力低下:専用の測定器を用いて咬む力を評価します。

4.舌口唇運動機能低下:「パ」「タ」「カ」の1秒当たりの発音回数を計測して評価します。

5.低舌圧:専用の測定器を用いて舌の力を評価します。

6.咀嚼機能低下:一定時間咀嚼したグミゼリーを吐き出してもらい、専用の測定器で計測して評価します。

7.嚥下機能低下:飲み込みに関する問診票への回答結果で評価します。

このうち3項目以上で検査結果が該当する場合、口腔機能低下症と診断されます。

口腔機能向上のためのトレーニング

口腔機能低下症を改善するためには、口腔ケアを見直し、徹底することに加えて口腔機能向上のためのトレーニングが効果的です。いくつかご紹介しましょう。

咀嚼機能にかかわるトレーニング

ア)舌の運動(それぞれ5回づつおこないましょう)

①舌を前方に大きく出します。

②舌先で右の口角、左の口角をなめます。

③舌をしっかり引っ込めます。

イ)口唇の運動(それぞれ5回づつおこないましょう)

①「ウー」と発声し、口をすぼめます。

②「イー」と発声し、口を横に広げます。

ウ)構音訓練(5回おこないましょう)

「パ」「タ」「カ」と連続して発音します。

嚥下にかかわるトレーニング

ア)開口の運動

①顎下の筋肉に力を入れ、口を最大限に開き、10秒間保持します。

②10秒間休憩します。

①と②を1回とし、5回で1セットを、1日2セット行いましょう。

イ)下顎の運動

「ガムやスルメをしっかり噛む」練習をします。

ウ)舌の運動

①舌を前へ突き出し、上下の前歯で軽くはさみます。

②舌を軽くくわえたまま、つばを飲み込みます。

と②を1回とし、6から8回で1セットを、1日1セット行いましょう。

口腔機能低下症の重症化を予防することで要介護状態の予防にもつながります。お口の衰えを感じるようになったら、歯科医師に相談してみてください。

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